男子プロバスケットボールBリーグは12日、8月のジャカルタ・アジア大会でBリーグに所属する4選手が買春を行った一連の問題を受け、都内で臨時研修を行った。10月1日から5回に分けて全国4カ所で臨時研修を開催し、今回でB1とB2の全36クラブの選手が研修を受けたことになる。この日は昨季B1王者のアルバルク東京や千葉ジェッツ、川崎ブレイブサンダースなど全12クラブの選手、監督、クラブスタッフ、球団社長などが参加した。

4選手が起こした問題について、大河チェアマンは参加者に対して「人気」「実力」「報酬」の3つの勘違いを説いた。人気について、「ブースターのみなさんは全面的に応援してくれるけれど、ちやほやされるからといって人気があるかどうかは別問題」とばっさり。実力については、「現状はW杯にも五輪にもしばらく行けていない。まだまだ切磋琢磨(せっさたくま)する段階だし100%の実力が身についたわけではない。W杯、五輪出場をしてやっとアジアでそれなりの実力がついたと認められる程度」。報酬も、Bリーグ開幕の16-17年シーズンの日本人選手の平均約750万円から、3季目の今季は約1200万~1300万円に上がっていることを受け、「報酬もスポンサー、チケット、グッズなどクラブの事業規模が2~3倍になってきたから年俸にはねているもの」と厳しい言葉をかけた。

一連の問題は、バスケットボール界に影響を及ぼしている。「ウインターカップ(全国高校バスケットボール選抜優勝大会)で数千万円規模のスポンサー契約を結べそうなところがあったのですが、話し合いの時にちょうどジャカルタ・アジア大会でのことがあって、『今は見合わせたい』とのことになったこともありました」。直近の今季第9節のB1全18クラブの平均入場者数を昨年の同時期との比率の高い順に並べると、トップは川崎ブレイブサンダースの前年度比129%だが、4選手の所属するクラブの今季の伸びがいずれも苦しい状況に置かれている。京都ハンナリーズが88・10%で12位、滋賀レイクスターズが84・20%で16位、大阪エヴェッサは83・70%で17位、新潟アルビレックスBBが75・30%で18位。「偶然かも分からないですが、無関係とは言えないと思います。この前の京都対三遠も見に行きましたけれど、僕の感触では若い女性がめっきり減っていました」と大河チェアマン。

今後は競技力の向上だけでなく人間力の向上にも力を入れる。各クラブには11月中にはオフコートキャプテンの設置も依頼し、今日12日からの日本代表合宿の冒頭でも、日本オリンピック委員会(JOC)のスタッフからインテグリティーの講話を受けることになっている。大河チェアマンは「災い転じて福となすではないですが、気を引き締め直してリーグ自体のレベルアップの機会にしたい」と切実な思いを語った。