五輪4連覇の伊調馨(34=ALSOK)が、史上初の5連覇への挑戦を明言した。20年東京オリンピック(五輪)の代表争いが本格化する戦いに女子57キロ級で参戦。リオデジャネイロ五輪金メダリストの川井梨紗子(24=ジャパンビバレッジ)と予選リーグ初戦で激突し、国内では男女通じて史上初の金メダリスト対決に1-2で敗れたが、その後に決勝進出を決めると、協会を通じてコメントを発表。「五輪へ向けての本当の復帰戦として、全日本がありました。自分の中で、もっと上げたいなという気持ちがあります。ここからが本当の勝負の時だと思います」と語った。

リオ五輪で女子選手では史上初の4連覇を達成後は、進路を明言してこなかった。10月に2年以上の長期ブランクを経て復帰後も、20年東京五輪へは慎重な姿勢を見せていた。この日の戦いで、「自分のなかで気持ちも体力も技も戻ってきているのが分かりました」とも述べた。心技体で大偉業を狙う覚悟が固まったのだろう。

川井に喫した黒星は日本選手では17年ぶり、71試合ぶりだったが、表情に悲壮感はまったくなかった。リオ五輪で頂点に立った後も2度の世界選手権を制した24歳の川井には、もっと苦しむと考えていたのかもしれない。田南部力コーチも「上出来。もっともっと苦戦すると思っていた。もともと勝てると思って復帰していない」と説明した。

23日の決勝では再び川井と相まみえる。優勝し、来年6月の全日本選抜選手権も勝てば、同9月の世界選手権代表に。そこでメダルを獲得すれば東京五輪の代表に決まる。伊調は「明日の展開もしっかり作れれば、もっと勘が戻ると思います。レスリングらしい試合ができればと思います」と決意をみせた。