昭和学院(千葉)が、高校総体と国体を制した優勝候補筆頭の桜花学園(愛知)を倒し、2年ぶりのベスト4進出を決めた。PG星杏璃(3年)を起点に多彩な攻撃を仕掛け、相手が得意とするゴール下の競り合いでも互角の勝負を展開。昨冬、今夏と全国の舞台で連敗していた“宿敵”を75-73で下した。今日27日の準決勝で大阪薫英女学院と対戦する。

心に誓い、待ち望んでいた瞬間だった。勝利を告げるブザーが会場に響き渡ると、昭和学院の選手たちは肩を抱き合い、声を上げながら人目もはばからず涙を流した。高校総体と国体に続く「3冠」を狙う相手に、下馬評を覆す白星でベスト4進出。星は「桜花しか見ていなかった。今日のこの日のために頑張ってきたから」とチームの思いを言葉にして絞り出した。

避けては通れない宿敵だった。昨年のウインターカップ準々決勝で敗れ、今夏の高校総体準決勝でも立ちはだかったのが桜花学園だった。わずか1ゴール差での連敗。勝負どころで受けに回る弱さを知った。「もう私たちは逃げない」が合言葉になり、心身を鍛え直して冬の最終決戦に臨んだ。

試合開始早々から、真っ向勝負を挑んだ。先陣を切ったのは、エースの星。自らドライブで切り込み得点を重ねると、長身留学生が待ち構えるゴール下に恐れなく次々と飛び込んだ。一進一退の攻防にも心は折れない。2点差を追う最終第4クオーター(Q)残り2分。黒沢楓(3年)が3点シュートを決めて逆転。なおも攻めて、攻め続ける。鈴木親光コーチ(50)が「(残り時間を考えて)もう少しボールを持った方がいいと思うくらい強気だった」と、肝を冷やすほどの執念だった。

19点を挙げた星のほかに、4選手が14得点。守備時のリバウンドは21本。攻守両面で戦い抜いた。鈴木コーチは「桜花をテーマにやってきただけに、気持ちを整理して次に向かいたい」と準決勝に切り替えた。女王を倒して、新たに狙うのは31年ぶりの頂点。昭和学院が、新たな挑戦の1歩を踏み出した。