男子200メートル平泳ぎで世界記録2分6秒67を持つ渡辺一平(22=トヨタ自動車)が、初優勝を果たした。150メートルまで自身が持つ世界記録を上回るペースで飛ばし、5連覇を狙った小関也朱篤(ミキハウス)らを置き去り。最後の50メートルで失速したが、2分7秒02をマーク。近い将来の世界新記録を予感させた。派遣標準記録を突破して世界選手権(7月、韓国)の代表に内定。世界選手権で金メダルを獲得して、東京五輪内定をつかみとる。

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世界新記録の予感に、会場が熱狂した。150メートルのターンで世界記録を0秒59上回る。渡辺は「歓声が地響きみたいに聞こえた。ここを頑張れば」。最後の50メートルで死力を振り絞るも世界記録に届かず。「最後はここ最近で一番バテた。『出たかな』とは、思わなかった。率直に悔しい」。

大会前から「人生最高の練習ができた」「ここで世界記録が更新できなければいつできるのか」と公言。17年1月に世界記録を出したが「注目されるレースで思うようなレースができないことがあった」。勝負強さを養うため、社会人初のレースであえて自分にプレッシャーをかけた。

打ち破りたい相手がいる。17年世界選手権金メダルのチュプコフ(ロシア)。相手にぴたりとついて、最後の50メートルで爆発的なスパートをかけるタイプ。この相手を倒すプランが150メートルを1分33秒5台で回ることだ。奥野コーチは「今回は、人生初のペースで未知の負荷がかかったと思う。ただ普通に戻ってこれれば、2分5秒9台が出る」。

150メートルで大きくリードするか、相手のオーバーペースを誘って得意のスパートを封じる。渡辺の口癖である「ぶっちぎりで優勝する」は打倒チュプコフの鍵でもある。150メートルまでのストローク数は世界記録時より50メートル刻みで1回ずつ減った。進化した大きな泳ぎで圧倒する考えだ。

勝利インタビューでは「レジェンド」北島康介氏に「この200メートル平泳ぎは日本のお家芸。リオで悔しい思い(6位)をしたので東京五輪ではぶっちぎりで優勝できるように世界記録を更新できるように」と誓った。【益田一弘】