【ブダペスト28日(日本時間29日)=三須一紀】卓球の世界選手権個人戦で、伊藤美誠(18=スターツ)早田ひな(18=日本生命)組が中国の孫穎莎、王曼■(■は日の下に立)組に2-4で敗れた女子ダブルス決勝で起きた「誤審問題」で、日本卓球協会が国際卓球連盟(ITTF)に抗議文書を送付したことが分かった。審判の不可解なジャッジに強く抗議し、ビデオ判定の導入を要望した。

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日本協会は試合終了後、即座にITTFに抗議文を送付した。問題の場面は、2-2で迎えた第5ゲーム。得点9-9から早田のサーブに相手がレシーブミスし、サービスエースかに思われた。しかし、サーブがネットに触れたと審判が「レット」の判定をした。

場内の大型スクリーンにはスローモーションで、ネットに当たらず相手コートに球が入る映像が流れた。2人はスクリーン映像を「見て」と審判に抗議。それでも判定は覆らなかった。

卓球でサーブの「レット」は卓球台に一番近い選手が手を挙げて自己申告する文化で、それを審判が認めるシステム。今回の場面では両国の選手ともボールがネットを越える瞬間、手を挙げずにプレーを続行するも、副審がレットだと手を挙げ、主審も同調した。日本協会関係者は「これでは卓球が成り立たなくなる」と憤った。

現在、卓球にビデオ判定はない。関係者によると14年、東京で開催した世界選手権団体戦でビデオ判定導入に向け動いたが、直前になってITTFから計画の中止が通達された。

日本協会はそれからもビデオ判定導入の必要性を訴えてきたが、ここまで導入されていない。卓球の大会は序盤、同時間帯に多くのコートで試合が行われ、全コートにビデオ判定を導入するのは難しいため、決勝、準決勝などの重要な試合だけ導入するなどの議論もある。

来年は東京オリンピック(五輪)が開催されるが、現時点でビデオ判定はない。ただ、今回の「誤審問題」で日本協会が強く抗議し、ビデオ判定を要望した結果、ITTFが考え方を変えれば、導入される可能性はゼロではない。厳正な大会運営、アスリートファーストの観点から検討されるべき課題であることは間違いない。

※■は日の下に立

▽伊藤 多分全員がレットじゃないと思っていた。あの1本ものすごく大きかった。言い訳にはしたくないけど、これがなければタイムアウトも取らないで、勝てたと思う

▽早田 私がサーブを出して、ネット越えて軌道も変わらなかった。相手もレシーブをミスしたという表情だった