世界ランキング1位の桃田賢斗(24=NTT東日本)が、来年の東京オリンピック(五輪)会場で同7位のクリスティ(インドネシア)を2-0で下し、連覇を達成した。第1シードで臨んだ重圧をはね返し、試合後は涙を流した。
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東京五輪1年前、本番会場でのプレ大会、世界1位…。重圧の中、5試合全力で戦った桃田には派手に喜ぶ力は残っていなかった。連覇が決まると静かにラケットを置き、勝利をかみしめるようにガッツポーズ。両手を膝に置くとしばらく動けなかった。「去年は勢いのままで勝っちゃったという感じ。今年は第1シードとして挑んでいた分、プレッシャーも疲れもあった」と安堵(あんど)した。
身長179センチ、勢いのある21歳クリスティに技術で圧倒した。「これまでいい試合をしていたので、初めからどんどん攻撃してくるかなと。相手を動かすことを意識した」。第1ゲームからネット際にシャトルを落とす得意のヘアピンでの勝負に持ち込んだ。対抗したクリスティはネットに掛けるミスを連発した。
第2ゲーム中盤には「そろそろカウンターが来るかなと思ったので、ガツンと一発」とギアを入れ替えるショットを決め、8連続得点で勝負を決めた。格の違いを見せつけられたクリスティは「我慢できなかった。彼は頭が良く、自分の作戦にうまく対応してきた。技術も戦術もまだまだ」と脱帽するしかなかった。
五輪選考レースで世界を転々とする中、ワールドツアー唯一の日本開催である今大会には人一倍熱い思いを持つ。試合後コート上のインタビューで「多くの方に応援してもらって…」と言いながら感極まり、持っていたタオルで涙を拭いた。「“桃田もう1本”という声に後押しされて力強く戦うことができた。泣くつもりはなかったけど、感情が入りすぎて」と語った。
五輪会場との相性は抜群で、昨年から10試合を戦って無敗だ。「たくさんの人に拍手をもらって気持ち良かった。コートの感覚もいいし、出場してみんなを楽しませて、恩返しの優勝ができたら」。苦しんで勝ち取った優勝で、桃田の頭の中に1年後の金メダルが浮かんだ。【松熊洋介】
◆桃田賢斗(ももた・けんと)1994年(平6)9月1日、香川県三豊市生まれ。吉津小2年でバドミントンを始める。福島・富岡高3年の世界ジュニア選手権で日本人初優勝。16年4月に発覚した違法賭博問題で同年のリオデジャネイロ五輪に出場できず。18年1月に日本代表復帰し、8月に世界選手権で日本男子初の金メダル。9月に世界ランキング1位に。19年3月の全英OPで日本初の男子シングルス優勝。家族は両親と姉。175センチ、68キロ。左利き。A型。


