女子52キロ級で阿部詩(19=日体大)が2連覇を飾り、東京オリンピック(五輪)代表に大前進した。

準決勝ではリオデジャネイロ五輪金メダルのケルメンディ(コソボ)と初対決。力自慢の猛者にけんか四つで対抗し、密着戦でも体の強さを存分に発揮し互角に渡り合い、勝負は延長戦に。指導差で追い上げを許しながら根気強く戦い、最後は根負けさせて寝技に持ち込んで横四方固めで制した。

満員の大歓声を受けた大一番の勝利で勢いに乗ると、決勝でも同五輪銅メダルのクズティナ(ロシア)に豪快に一本勝ち。2年連続の頂点に立った。

2月に左肩を負傷したが、5月の国際大会で快勝して上向きに。さらに今大会では「勝利の法則」も徹底した。昨年に続いて、兵庫・夙川学院中高で6年間指導を受けた垣田恵佑コーチに練習パートナーを依頼。「一番調整しやすい」として、都内での最終調整では同階級では異例の体重90キロの男性を豪快に投げ込んだ。大舞台前の必勝稽古で、技のタイミングや腰の入りなど微調整してきた。

これで外国人相手に45連勝とし、敗者復活戦から銅メダルの志々目愛らと争う東京五輪代表選考で、大きく抜け出した。11月のGS大阪を制すれば、20歳での初五輪が見えてくる。「異常な強さを誇る怪物になりたい」。そう公言し続ける独特の目標へ向け、ひたすらに、まい進する。

 

◆柔道の東京五輪代表選考 男女各7階級1人で、選手の準備期間確保を重視した「3段階」選考で決める。(1)世界選手権優勝者が11月のGS大阪大会を制し、強化委員会で出席者の3分の2以上の賛成で代表入り(2)12月のマスターズ大会(中国)、来年2月のGSパリ大会、GSデュッセルドルフ大会終了時点で、強化委の3分の2以上が、1、2番手の差が歴然としていると判断すれば代表選出(3)最終選考は来年4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で代表決定する。