9月30日に現役引退を発表したバスケットボールBリーグ最年長選手で、レバンガ北海道で社長を兼任する折茂武彦(49)が1日、札幌市内のホテルで引退会見を行った。会見冒頭で「レバンガ北海道の折茂武彦は19-20シーズンをもちまして現役引退を決めました。6日に開幕するシーズンで1年間プレーする時間はある。しっかりと今まで支えてくださった方々、チームのためにも頑張っていきたい」とあいさつした。

引退の理由について「責任を果たせた思いが一番強い」と口にした。新加入選手4人が加わったチームの変化に加え、八村塁や渡辺裕太などNBAでプレーする選手が日本から生まれ、ワールドカップに日本代表が出場するようになった日本バスケットボール界の発展も要因の1つとした。折茂は「子どもたちに夢や希望を与える選手が出てきた。レバンガ北海道も変わらないといけない時期。自分としてはここでけじめをつけたほうがいいと思った」と話した。

49歳という年齢での体力面での不安に関しては「この年齢ですから40歳すぎから体力の衰えは感じていた。ただ若手と同じトレーニング、量をこなしてついて行ける状態ではあった。体力の衰えで引退を決めた訳ではない」と、直接的な要因とはしなかった。

折茂は93年にトヨタ自動車でキャリアを踏み出し、07年にJBLのレラカムイ北海道に移籍。11年に所属先がリーグ除名処分を受けた後は、自ら運営会社社長に就任した。当時を振り返り「北海道に来てからは本当に苦しく厳しく孤独で大変なバスケットボール人生だった」。社長兼任という異例のスタイルを続け、今年1月には国内トップリーグで日本出身選手として初めて1万得点を達成した。その半分以上を積み重ねた北海道について「北海道という地は特別。人間、人として本当に成長させてもらった場所」と感謝した。

昨季はチームも大不振で、プレーオフの末にギリギリで今季の1部残留を決めた。49歳で迎える現役最後の27季目のシーズンは6日に横浜と戦う本拠地の札幌・北海きたえーるで始まる。バスケットボール界を長くけん引したレジェンドは「できるだけ多く点数を取ってそういう姿を見てもらいたい。こうして自分が引退を自分自身で決めれて、(残り)1シーズンを戦えるのはありがたい。そこも感謝でしかない。だからこそ、しっかりと全力で戦わなければいけない」とラストシーズンへ視線を向けた。

◆折茂武彦(おりも・たけひこ)1970年(昭45)5月14日、埼玉県上尾市生まれ。埼玉栄高2、3年の総体に出場し、3年時8強&得点王。日大では主将だった4年のインカレで優勝&MVP。93年トヨタ自動車入りし、日本代表初選出。94年アジア大会銅メダル、98、06年世界選手権出場。07年レラカムイ北海道に移籍し、現在はレバンガ北海道の選手兼社長。190センチ、77キロ。