【深セン=吉松忠弘】世界3位の大坂なおみ(22=日清食品)が、2年連続2度目の出場となった最終戦の開幕戦で、自身初の勝利を挙げた。今年の全豪決勝の再現となった同6位のペトラ・クビトバ(チェコ)に、7-6、4-6、6-4の2時間39分でフルセット勝ち。9月の東レ・パンパシフィック(大阪)から11連勝となり、自身の最長連勝記録となった。

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打ちたくなる気持ち、勝ちを焦る気持ちを押し殺し、大坂が安定したプレーで踏ん張った。最後、3本目のマッチポイントで相手のバックのリターンがアウトとなると、少しだけほっとした表情を見せた。「全豪の決勝で戦った相手にまた勝ててハッピーよ」。初勝利に笑みがこぼれた。

昨年は1次リーグで3戦全敗。1勝もできなかった。18年全米優勝の余波に巻き込まれ、疲労困憊(こんぱい)だった。しかし、今年は「ここに勝ちに来た」ときっぱり。安定したショットで相手を振り切った。

9月の全米以降、球に縦回転をかけネットの上高くを飛ばすショットに磨きをかけた。持ち味だった弾道が直線的で、速度のあるハードヒットはミスをするリスクが高いと封印。「もう自然と打てている」というショットで全米以降、負けなしの11連勝。自身最長の連勝記録も塗り替えた。

今大会は、昨年のシンガポールから中国に開催地が移った。アジアを代表する大坂は、名誉ある今年の開幕戦も担った。試合前には、会場の大型スクリーンに映像が映し出され、ファンから声援が飛んだ。「もう少し、いい写真を使ってくれたらいいのに」と笑わせた。

全米直後、ジェンキンス・コーチを解任。現在は、父フランソワさんがコーチの代役を務める。父がコーチの代役になってから負けていないが「この日の父のアドバイスを聞いた? 『落ち着いて』のひと言よ。信じられる?」と苦笑い。父娘、無敗の二人三脚はとどまるところを知らない。