佐藤幸椰(24=雪印メグミルク)が251・6点でワールドカップ(W杯)初優勝を飾った。1回目は126・5メートルで7位、2回目は132メートルと飛距離を伸ばし6人抜きの逆転勝利。W杯参戦42戦目の優勝で日本勢男子としては15人目となった。

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佐藤がW杯42戦目にして初の白星をつかんだ。優勝が決まると、笑顔で昨季個人総合王者の小林陵侑(23=土屋ホーム)ら日本人選手と抱き合った。「信じられない」。普段はクールな男が興奮気味に喜んだ。

鮮やかな逆転劇だった。1回目は126・5メートルの7位につけた。2回目は向かい風を受け、飛距離を伸ばしてヒルサイズに近い132メートルの大ジャンプ。「他の選手の失敗を望んではいけないが『ちょっと手前で着地してくれ』という気持ちが正直あった」。願いながら待っていると後続の上位選手が次々と失速、勝利が転がり込んだ。前半トップとは飛距離換算して2・7メートル差。安定したジャンプを2本そろえて、6人を抜いた。

名門の雪印メグミルクに入社して6年目。98年長野五輪金メダリストの原田雅彦監督(51)、岡部孝信コーチ(49)の指導で成長してきた。161センチと小柄だが力強いバネが持ち味。自身にとって大きな1勝に「ジャンプ人生で、何か1つ2つ上に行けるようなきっかけになればいい」。シーズンは始まったばかり。初勝利にも浮かれず、冷静な思いでさらなる飛躍を目指す。

◆佐藤幸椰(さとう・ゆきや)1995年(平7)6月19日、石狩市生まれ。石狩紅葉小2年時から札幌ジャンプ少年団で本格的に競技を始める。石狩花川北中3年で全国中学優勝。中学2年から全日本ジャンプ強化指定選手。札幌日大高では高校総体3連覇、国体2連覇。14年に雪印メグミルク入社。好きな製品は「こんがり焼ける とろけるスライス」。161センチ、54キロ。