関大は10日、9月まで同大学アイススケート部監督を務めた織田信成氏(32)が浜田美栄コーチ(60)からモラルハラスメントを受けて監督辞任に追い込まれたとして、同コーチに対して1100万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した件について、織田氏とは異なる見解を示した。

同大学は12月6日、スケートリンクを使用する生徒の保護者に説明会を実施。その際に「多くの親や子どもたちが不安を感じている。大学の対応、経緯等を公表してほしい」と要望を受けたとし、大学側の対応を書面で発表した。

7月1日に関大の芝井敬司学長(63)が織田氏側と面談し、練習時間と部則の変更、「8の字練習」についての浜田コーチへの不満とともに、同コーチの解任要求を受けた。同大学は7月3、31日に関係者へのヒアリング調査を実施。「その結果、織田さんの要望を受け入れることは総合的にみて妥当ではないと判断するに至った。織田さんの体調等が万全でないことが察せられたため、あえて調査結果をお伝えしない方がよいと判断した」という。

主な要点は以下の通り。

<1>練習時間の変更

◆織田氏の申し出 19年2月ごろ、小中学生の練習時間が午後1時半~同3時に設定されており、教育機関として良くないと考えたため練習時間を変更。4月以降、浜田コーチ、部副顧問が相談し、監督である自分に相談することもなく、2月に変更した練習時間帯を勝手に元に戻した。

◆浜田コーチの見解 4~5月の2カ月間は我慢して、変更された時間で練習。しかし、変更提案者の織田氏が練習に来ない、始発バスに乗っても練習開始時間に間に合わない生徒がいる、他の団体(スピード、ホッケー部門)への配慮がない等、困惑が多い状況だったため、父母にアンケートを実施。他の指導者の意見も聞き「元に戻してほしい」という意見がほとんどだったため、5月22日の指導者ミーティングを経て練習時間を元に戻した。ミーティングを織田氏は欠席したため、部顧問から織田氏に説明することになった。

◆他のコーチ陣の見解 小中学生が学校を早退して来ることが教育上良くないという理由だったが、変更後は逆に学校を遅刻することになり、保護者から不満の声。元に戻すことについて、5月22日のミーティングで全員の総意で決定。2日前の同20日に浜田コーチが織田氏に「22日に協議し元に戻す」と直接伝えており、本人は気が進まない感じではあったが「はい、はい」と返事していた。

<2>部則の変更

◆織田氏の申し出 成績不良者を出さないよう、幹部と相談し、部則の変更を試みたが反対された。

◆浜田コーチの見解 19年1月24日に織田監督から部則の変更について提案があった。休学は大学で定められている学生の権利であるが、部則でしてはいけないとすることは適切か。学生に勉強するよう促すべきではあるが、成績不良者にアリーナでの練習禁止を課すのはどうか、と指摘。部則の変更等、何度も同席の上で話をするように提案しているにもかかわらず、織田氏は欠席して応じていない。

◆他のコーチ陣の見解 個人的な相談を受けておらず、書類も見ていない。指導者間では反対をしていたが、織田氏本人に伝える機会がないまま今に至っている、など。

<3>8の字練習

◆織田氏の申し出 安全面から3人以上で行わないと決めた「8の字練習」を5人で行っており、危ないからやめるように注意したが、浜田コーチから無視された。

◆浜田コーチの見解 当該事案の発生時、自分はリンクにいなかった。

◆他のコーチ陣 当該事案は浜田コーチではなく、他のコーチの下で起こったこと。織田監督が監督に就任する前のことで「8の字練習は4人で行う」というルールを設けたのは、当該事案発生後のことである。