羽生選手はGPファイナルまでの疲れもありつつ、久しぶりの同大会でのフリー最終滑走であったこともあり、冒頭から少し気負いを感じられ、いつものようなエアリー(軽やかな)な感じが少なく、力んでいるように感じる場面も少なくなかった。力んだためにジャンプの軸が外にブレ、着地で耐えたことにより、序盤で体力を消耗し、後半の転倒につながってしまった。

宇野選手は前半のジャンプが耐え気味だったため、後半の体力がどうかと思ったが、全日本までしっかりと練習を積んでこられたのだろう、最後までスピードがあった。ステファン・ランビエル・コーチの存在は大きく、本人も感じており、次回の試合への良いステップになったと思う。

高橋選手は去年と同じプログラムにもかかわらず、短く感じるほどに魅力的だった。1つの作品として流れがあるなというプログラムだった。そしてジュニアの鍵山選手と佐藤選手のこれからが楽しみだ。私的にはロシアのプルシェンコとヤグディンのライバル争いをほうふつとさせた。高橋選手が抜け、羽生選手と宇野選手がいる中で、下の世代が上がってくる。時代が動く片りんを見せてくれた大会になった。(10年バンクーバー五輪代表、11年世界選手権銀メダリスト)