松山聖陵(愛媛)の渡辺悠太監督(31)が、不思議な巡り合わせに奮い立った。30日の2回戦で戦うのはBシードの東福岡。

今から12年前の07年1月7日、場所は同じ花園ラグビー場。大阪・東海大仰星(現東海大大阪仰星)の背番号14を背負い、決勝で東福岡を19-5で破った。

起点となるSOには、W杯日本大会で初の8強に貢献した山中亮平(神戸製鋼)がいた。「最強世代」の前評判通り日本一になった。山中とは3年間同じクラスだった。酒席になると、今も思い出話で盛り上がる。この日、一躍ヒーローとなった男は開会式にやってきた。1年ぶりの再会を果たし「頑張れよ」と声をかけられた。

立場は違えど、渡辺監督も体の酷使をいとわない。「一緒に練習して、普通に(生徒へタックルで)刺さりますよ」。SH中村一貴(2年)は「自分たちのために熱心に教えてくれる。背中を見せてくれる」と言う。情熱は生徒に伝わる。

指導者として初めて聖地に立ったのは、16年度だった。17年元日の3回戦では0-91と完敗。何かの導きか、相手は東福岡だった。

「3年前は15分間だけ、0-0にすることができた。『これをあと3回(で試合時間の60分)だな』と言った。(次戦は)面白いことをしようと思います」

この日の登録メンバー25人のうち、1年生は10人。手塩にかけて育てた教え子たちと、全国制覇6度の強豪にぶつかる。【松本航】