昨年8月のクライミング世界選手権男子複合で金メダルを獲得し、東京五輪代表に内定した楢崎智亜(23=TEAM au)が11日、日本山岳・スポーツクライミング協会の19シーズン表彰式に出席し、五輪本番に向け、意気込みを語った。

五輪での金メダルが目標という楢崎は「ついに来たなという感じ。ワクワクしている」と心境を明かした。世界選手権での代表内定後、10月から肉体改造に取り組んだ。「コア(体幹)がぶれないようトレーニングした」と語り、胸囲や肩の周りの筋肉など体のさまざまな部分をモデルチェンジ。胸の厚みが増し、着ているシャツがきつくなったという。「(この時期の肉体改造に)最初は怖かったが、早いタイミングで効果が出てきた。スピードは少し落ちたが、それもだんだん戻ってきた」と自信をのぞかせた。

世界王者になったが、金メダルへ妥協はしない。「(リードやスピード)すべてで1番になったわけではない。難しい課題にしてもらって自分だけが登れるようにしたい」とライバルに差をつけるため最強の体作りを追求する。中学生までは「自分が天才だと思っていた」と練習をほとんどしなかった。日本ではトップクラスだったが、15年世界選手権で「ボコボコにされた」とボルダリング10位と惨敗。「当時は(弟の)明智の方が全然良かった」と心を入れ替え、努力を重ねた。16年にはW杯年間総合優勝と世界選手権優勝という日本男子初の2冠を達成。「今では身に付いたものの方が効果が出ている」と理想とする姿に近づいてきた。

今年のテーマを「止まらずに成長し続ける」。今後は2月に行われるボルダリングのジャパンカップに出場する。「緊張しても仕方ない。プレッシャーを力に変える」。東京五輪まで7カ月。止まることなく頂点まで登り続ける。