2020年東京オリンピック(五輪)の機運醸成を図る象徴的な巨大シンボルが17日、台船に乗せられ、東京都立お台場海浜公園の海上に設置された。24日には初のライトアップや花火イベントが行われる。巨大シンボルは横32・6メートル、縦15・3メートル、幅1・7メートル。五輪閉会式の8月9日まで設置される。

午前8時すぎ、大型五輪シンボルは前後1隻ずつの小型船に引っ張られ、お台場海浜公園前の海上に姿を見せた。その姿は五輪が全てグレー色だった。設置場付近の海上で反転し、5色の五輪シンボルが見えた際には、集まった約100人の報道陣が「おーー!」と声を上げ、その迫力に圧倒された。

毎朝約8キロ、この周辺をランニングするという斉藤正己さん(26)はこの日、テレビを観覧し興味を持ち歴史的瞬間を見届けに訪れた。「五輪がいよいよはじまるな」と笑顔を見せ、「このようなイベントを、なかなか間近で見られないのでうれしいです」と喜んだ。

大分から家族旅行で訪れ、目の前のホテルに宿泊しているという安藤美樹さん(55)は前回の東京大会開催年(1964年)生まれだ。まさか自分が生きている間にまた、自国開催があるとはと驚いたが、「たまたま宿泊していたので良かったです。すごいですね。実感が湧いてきました」と運の良さに笑みがこぼれた。大会中は「同じ大分出身の競泳平泳ぎ元世界記録保持者、渡辺一平選手を応援します!」と期待感で早まる気持ちを抑えることができなかった。

巨大シンボルは「スペクタキュラー」と呼ばれるものの一種で、都が国際オリンピック委員会(IOC)と結んだ開催都市契約の中で設置が定められている。

巨大シンボルは象徴となり、各大会を彩ってきた。12年ロンドン五輪ではテムズ川に架かるタワーブリッジに設置され、お祭りムードを演出。重さ3トン以上で幅約25メートル、高さ約11・5メートルだった。

16年リオデジャネイロ五輪では世界的観光ビーチのコパカバーナに設置。もともとは海に浮かぶ巨大展示物を計画していたが、経済の低迷を受け、砂浜に幅6メートル、高さ3メートルのものを設置した。

巨大五輪シンボルは大会開催に合わせて街を装飾し、機運醸成を図る「シティードレッシング計画」の肝で、その大会を象徴する風景として、重要な役割となる。台場地区は東京の風景を代表する場所で、今大会、目玉となるアーバン(都市型)スポーツ会場などが集まる。【佐藤勝亮】