2連覇を目指す神戸製鋼が36-24で昨季3位のヤマハ発動機を下し、開幕2連勝を飾った。

阪神・淡路大震災から25年の節目だった前日17日は、全体練習前に全員で黙とう。19年W杯日本代表FB山中亮平(31)は「神戸のことを考えて、背負って、試合に臨んだ。ハードワークして、勝てて良かった」と胸を張った。

25年前、日本選手権7連覇2日後の地震で神戸市内の本社は倒壊した。練習場は液状化現象を起こし、復旧は9月。その状況下で「神戸は大変でしょう。うちに来ませんか」と手を差し伸べたのがヤマハ発動機だった。5月の大型連休に静岡で合宿を行い、復活をライバルが支えてくれた。

この日は前半11分に先制トライを献上。元ニュージーランド代表SOカーターが圧力を受けたが、SH日和佐を攻撃の起点に変更して5トライを奪った。ゲーム主将を担った社員選手のフランカー橋本大は「当時の人たちが大変な思いで復興されて、今がある」。先頭でその思いを体現した。

記者会見を終えたディロン・ヘッドコーチは、退室間際に自らマイクを握った。「今日はヤマハの(プロップ)山村選手が(トップリーグ)200試合出場。神戸製鋼を代表して『本当におめでとうございます』と伝えたい」。月日が流れても、西の名門は痛みと感謝を忘れない。【松本航】