みちのく女子バレーボール界を盛り上げた東北出身3人の、Vリーグ日立リヴァーレ入りが、30日までに決まった。1月の全日本高校選手権で準優勝した古川学園(宮城)上沢沙織(3年)は183センチの長身ミドルブロッカー。秋田北の野中瑠衣(3年)も同選手権で同校初勝利を導いたU-18日本代表経験があるアウトサイドヒッターだ。昨年11月の全日本大学選手権で16強入りした東北福祉大(宮城)セッター境紗里奈(4年=弘前学院聖愛)も東北リーグMVPの実績を誇る。日本最高峰リーグや将来の日本代表としての活躍にも期待が高まる。

古川学園の上沢は主将として全国舞台の決勝進出を導いた。Vリーグでの戦いに向けて「春高(選手権)の経験を糧にして次のステージに生かしたい。親にも恩返ししたい」。最高到達点は同大会出場選手中7位タイの300センチ。決勝では東九州龍谷(大分)にストレート負けを喫したが、共栄学園(東京)との準決勝では両チーム最多のブロック5得点を含む、計10得点を挙げた。「スパイク決定率がまだまだ低いので、体を作り直して、ブロックとともに貢献出来るようにしたい」と成長を誓った。青森県八戸市出身で、伯父には大相撲の元幕内三杉磯(現峰崎親方、63)もおり、身体能力の高いDNAは実証されている。

秋田北の野中は、自身も憧れている「ポスト木村沙織」として期待される。技術の高いスパイクはもちろん、コート内であふれる笑顔もスター性十分。秋田市出身で、勉学にも優れる文武両道ヒロイン。有名大学進学も選択肢にあったが「全国舞台でセンターコートに立ったり、日本一を味わったことはないけれど、同世代に負けたくない。もっと高いレベルで早く挑戦したいと思った」と決断した。同選手権では2回戦で広島桜が丘に敗れたが、日の丸を付けてプレーした経験値を披露。「100%の力は出せなかったので、悔しいし甘いなと思った。Vリーグは厳しい世界。今のままでは通用しない。誰からも信頼される守備を身につけ、守備で安定感がある選手になって、攻撃でも相手に嫌だと思われる選手になりたい」と力を込めた。

東北福祉大の境は青森県つがる市出身。巧みなパスワークに加え、レシーブ力やサーブ力も抜群だ。チームメートとなる秋田市出身の日本代表セッター佐藤美弥(29=聖霊女短大付-嘉悦大)の側近で学び、背中を追うつもり。「声や指示を出す力もセッターとしてもっと必要。技術面では、まだまだパススピードやテンポを上げていかないとダメ」。昨秋リーグ戦で最優秀選手賞受賞の実績も胸に、さらなる成長を期す。

日立には佐藤だけでなく、東北出身者が多数おり心強い。秋田県にかほ市出身の斎藤加奈子(25=由利-東北福祉大)、山形市出身の堀井有蘭(25=山形城北-東北福祉大)、秋田市出身の土井さくら(24=秋田北-筑波大)らズラリ。新人3人は来月上旬に入寮し、練習参加する予定。Vリーグで存在感をアピールし、日本代表や五輪出場にも挑む。