全国高校スキーが3日、新潟・妙高市で開幕し4日から競技は始まる。アルペン女子大回転の一昨年女王、畠中悠生乃(ゆきの、札幌第一3年)が、2年ぶりタイトル奪還を狙う。この日は大会コースを試走し「(回転、大回転の)2種目とも優勝する気持ちしかない」と意気込んだ。

1年で大回転優勝も、昨季は全道大会で転倒し右脛骨(けいこつ)を骨折。全治8カ月以上の重傷を負い、連覇がかかる全国大会は出場すらできなかった。手術は回避できたが、3月末まで患部をギプスで固め自宅療養。リハビリ生活の間、アルペンW杯で日本人最多3度の表彰台に立った佐々木明氏が経験談などをまとめた著書「鬼攻め」を読んだ。「世界の1番になりたいという夢を忘れないように」。体を動かせない中でもモチベーション維持のため、常に脳を刺激し続けた。

チーム練習に完全合流できたのは昨年9月。日本のシーズンが始まる前の10月末から11月にかけ、スキーの感覚を取り戻すため米国、中国遠征に出向いた。恐怖感はあったが「楽しかった。スキーができることがどんなに恵まれているかに気づいた。初心に帰ることができた」。逆境を経てつかんだ新鮮な思いを、力に変える。

目標だった3月の世界ジュニア選手権(ノルウェー)は昨季、ポイントレースに加わることができず逃した。代表の渡辺愛蓮(長野俊英1年)は、学年は下だが今大会で優勝を争うライバルだ。「全力を出し食らいつく」。元女王のおごりはない。ゼロからはい上がった挑戦者として、攻めていく。【永野高輔】

◆畠中悠生乃(はたなか・ゆきの)2001年(平13)10月12日、札幌市生まれ。札幌藻岩南小1年で本格的に競技スキーを始める。札幌藻岩中では2、3年の全国中学大回転で2位。札幌第一では1年で大回転優勝、回転2位。家族は両親。父剛志さん(51)はスキー指導者で「玉越ストリームレーシング」コーチ、母佳代子さん(45)はスポーツジムのトレーナー。158・5センチ、54キロ。血液型O。