柔道男子90キロ級の向翔一郎(23=ALSOK)がキックボクシング効果で東京オリンピック(五輪)代表の座を勝ち取る。

19日、東京オリンピック(五輪)代表選考会の1つであるグランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会(21~23日、ドイツ)に向かうため、成田空港を出発。キックボクシングを取り入れた練習で納得のいく仕上がりをアピールした。

代表選考会を楽しむかのようなリラックスした表情が、向の充実ぶりを物語った。本業である柔道の練習後、週4~週5回キックボクシングジムに通う。試合形式に近いマススパーリングやミット打ちなど2時間半近くこなしてきた。独自調整法でスタミナ面を含めて進化した実感がある。

「柔道はもちろん疲れるんですが、僕元気なんですよ。そんくらい疲れないと寝られないレベル。あー何もしたくないくらい追い込まないと、寝られないんです」と笑みを浮かべ、キックボクシングトレの快眠への効果も口にした。

キックボクシングに出合ったきっかけは、K1ファイターのレオナ・ぺタス(本名・加藤玲於奈)。高校時代に同じ接骨院に通っていた縁で知り合った。昨年8月の世界選手権では、キックボクサーでペタス氏の弟の加藤虎於奈(こうな)を付け人として帯同させた。当初は柔道の間合いの詰め方などを学ぶため取り入れたが、今では快眠も含めてリラックス法にもなっている。

90キロ級の代表最有力候補だが、慢心はない。「追われる立場とか、1番手とか自分の中でさらさらない。追う立場のつもでやっている」と気を引き締める。短く刈り込んだ髪形について聞かれ「(ドラゴンボールに登場するトランクスをモチーフにした)トランクスヘアにしてください」と頼んだことを明かした。持ち味の底抜けに明るい性格で、楽しませることを忘れない向に期待が高まる。