一から伝統を築き上げる。北海道栄相撲部が始動した。13日、同校で完成した相撲場で土俵開きが行われると、創部メンバーとなる3人の1年生がさっそく汗を流した。昨年の全道中学覇者で全国都道府県中学生選手権8強の東亮佑は「ここに来たら強くなると思ってきた。全国で戦えるような選手になりたい」。総工費300万円超の土俵に上がり、決意を新たにした。

部員は全国中学に出場した東と野坂朋矢と、「みんな優しかったし、興味があった」と加入した未経験の熱海允一の3人。埼玉栄で元大関豪栄道(34)や妙義龍(33)とともに国体3連覇した高山和典監督(33)に誘われて入部を決意した。日大4年時に東日本学生選手権を制すなど実績豊富な同監督は「楽しみな部分もあるが、預かる身として責任を感じる。全身全霊でやっていきたい」と気合十分に話した。

5月以降には高山監督が現地でスカウトしたモンゴル人留学生2人も加わる予定で、全員が寮で生活をともにする。1年目は基礎の徹底と体作りをしながら、最高学年になる2年後の全国出場を目標とする。将来の角界入りも見据える野坂は「まずは3年間で力をつけたい」。寮監も務める同監督のもと、3人で3日で米1升を平らげるなど、厳しい稽古に耐えるための食トレにも励んでいる。

北海道は都道府県最多8横綱を輩出した相撲王国だが、近年は競技人口が減少。最盛期の62年には25校175人が出場した総体道予選も昨年出場は4校18人。新型コロナウイルスの影響で大会出場は未定だが「先生のもとで力をつけたい。とにかく楽しみ」。そう口をそろえる北海道栄相撲部の3人の初代部員と、熱血監督の挑戦が始まった。【浅水友輝】

◆北海道の高校相撲事情 昭和では都道府県最多8横綱が生まれた大相撲だけではなく、アマ相撲も活況だった。国体では高校団体で48年、51年、52年の3度優勝、総体では59年に江差が全国制覇を果たしている。総体道予選出場校も70年までは参加校が20校以上を数え、96年までは2桁で推移。翌97年以降は参加校が1桁に。昨年は函館水産、小樽水産、大野農、北海学園札幌の4校のみで出場者も18人と競技人口は減少傾向にある。