釜石(岩手)空手道部は、昨夏の全国高校総体で男女団体組手アベック出場を果たした先輩たちの背中を追ってきたが、新型コロナウイルスの影響で県総体を含めた中止が決まり夢が消えた。

女子は昨冬の東北選抜大会で、団体組手に2位で出場権を獲得していた全国選抜大会中止に続く無念。3年生男女5人は「絶対行ったるインターハイ」と目標が掲げられた道場で、後輩育成とともに自分たちの新たな夢も抱いた。

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女子主将の高橋栞里(3年)は、高校で達成出来なかった東北NO・1を自身の次の目標に掲げた。1年冬に個人組手で東北3位となり、昨夏の全国総体では3回戦進出。昨冬に組手団体で東北準優勝して全国切符をつかんだ選抜大会も、連続出場を狙った全国総体も中止。「全国各地の選手が悔しい思いをした。自分たちは今、練習が出来ているだけで幸せ。大学に入ったらもっと強い人もいるから負けないようにしたい。まずは東北で一番になって、全国に名前が知られるような選手になることが、釜石で支えていただいてきた方への恩返しになる」。国体の開催も微妙なだけに、東北の強豪大学進学を目指しつつ、後輩たちも支えるつもりだ。

釜石・鵜住居(うのすまい)幼稚園時代の4歳から空手一筋。小斎道場鵜住居支部で形から基本を学んできた。高校入学後、組手も開始。「今はどっちも好き。両方でインターハイに出ることが目標でした」。学校では仲間と組手を磨き、帰宅後は形の自主練習を継続してきた。「形で足腰を鍛えてきたので、組手でのスピードがついてきた」と相乗効果での成長に手応えも得ている。

昨冬の東北選抜大会の女子個人組手53キロ以下級で3位となり全国出場が決まっていた宮沢花畝(3年)とも「お菓子禁止」を掲げて切磋琢磨(せっさたくま)してきた。2人の新たな目標は「後輩たちに、もっと強くなってもらって、小さな目標から達成して、東北1位になってほしい」。道場には、高橋の大きな声が響いていた。【鎌田直秀】