フェンシング女子サーブルで今春中止となった世界ジュニア選手権(米国)日本代表の尾崎世梨(鹿児島南3年、札幌大谷中)が高校3年間の進化を発揮する。1年3位、2年2位だった総体の代替全国大会「High School Japan Cup 2020」が今秋の開催を計画している。高校の頂点を決める場が実現し、出場がかなえば「総体と同じような気持ちで優勝を目指してやりたい」と気を引き締める。

中学卒業後、16、17年全国選抜優勝(サーブル)の鹿児島南に留学。世代別日本代表がひしめく強豪校のハードな練習で成長。165センチ、50キロだった体格は167センチ、61キロに。昨年末に帰省した娘を見た母千恵さん(49)は「別人みたいになった。着たい服のサイズが合わないって少し悩んでいました」と見違えた。

持ち前の俊敏性とリーチを生かした攻撃に磨きを掛け、昨年3月のアジアカデ選手権準優勝。ジュニア(20歳未満)国内ランキングでも高校生トップの4位となり、尾崎は「24年パリ五輪でメダルを取る」と未来図を描く。同校の大坪昭仁監督(38)は「一番成長したのは人間力。アスリートとしてものを考えられるようになった」と評価。千恵さんも「極度の人見知りだったのに行動も積極的でガラリと変わった」と話す。

コロナ禍で出場予定大会が相次ぎ中止になったが、20日には鹿児島県総体に代わる「かごしまメモリアルマッチ2020」で今季初戦を迎える。部活停止中も下宿先で装具をつけて自主練習を怠らなかった。尾崎は「メモリアルマッチでは優勝を目指したい」。道産子剣士の高校ラストシーズンが始まる。【浅水友輝】

◆尾崎世梨(おざき・せり)2002年(平14)9月22日、札幌市生まれ。札幌北郷小6年までは、空手とチアダンスを並行。空手は正道会館の初段で全道優勝、チアダンスは全国出場経験がある。札幌大谷中1年でフェンシングを始め、3年時に全国中学サーブル優勝。鹿児島南2年で出場した世界カデ選手権(ポーランド)では女子個人戦で日本勢最高の33位。名前の由来は「世界で羽ばたけるような子に」との願いから。家族は両親と兄。167センチ、61キロ。

◆High School Japan Cup 2020 全国高校総体に代わる大会として計画中。時期を9月25~27日か11~12月を設定し、安全確保を最優先に開催可否を判断。希望する3年生全員が無料で出場でき、フルーレ、エペ、サーブルの日本一を決める。1、2年生も出場できる。フェンシング日本代表39人と他競技の五輪出場選手10人が賛同しており、資金調達のためのクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/287421?list=projects_fresh)を実施している。