4大陸選手権で2大会連続3位などの実績を持つ本郷理華(24=中京大)が、約1年5カ月ぶりの復帰戦でフリー1位の結果を残した。

総合では176・07点の準優勝だった。全体1位の山下真瑚(17=中京大中京高)とは、わずか2・16点差も「とにかく次に進もうという気持ちでした。表彰台なんて目標にできないと思っていたのでビックリしましたけど、素直に、うれしいです」と納得した。

パンツスタイルで登場すると、冒頭の3回転フリップを見事に成功。ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)-1回転オイラー-2回転サルコーの3連続、3回転サルコー-2回転トーループの2連続もしっかり着氷した。前半最後の3回転サルコーに新設の「q」マーク(4分の1回転不足)が付けられた以外はノーミス。3種のスピンすべて最高のレベル4を獲得するなど、フィニッシュすると同時に充実の笑顔を見せた。

「2日連続で演技するのは(18年12月の)全日本選手権以来。SPの後も集中しなきゃと思ったのは久しぶりでした。課題はありますけど、次につながる演技ができたと思います。1歩ずつですけど、やりたいスケートが表現できている気はした。もっともっと良くなるように頑張りたい」

無観客だったが、関係者の大きな手拍子で復帰を祝福された。SPは60・29点の3位だったが、迎えたフリーでは全体トップの115・78点をたたき出した。「久々なので、お客さんがいた時のこととかあまり覚えていなくて無観客とか気にしないでノビノビ滑っちゃったんですけど、皆さんが応援してくれてうれしかったです」と表情を明るくした。

フリーの課題は「体力面」だった。復帰に向けてランニングやプログラムの滑り込み、筋力トレーニングを重ね「(全休した昨季以前の)体力に戻せるように自分なりにはやってきました。改善点はあるけど、そこまで大崩れせずに終えられた。演技後は『もうダメだ~』というほどの消耗でもなかったので、練習の成果は出たのかな」と手応えをつかんだ。

今後の向上計画に関しては「今は、ジャンプがサルコーとトーループ中心なので。スピン、ステップも含めて、もっと構成を上げていきたい」と説明。近況を踏まえ、休養前との比較を求められると「休む前を100%だとしたら60~70%くらいかな」と笑顔で数値化に応じた。

今後は西日本選手権(10月29~11月1日、京都)や全日本選手権(12月23~27日、長野)へ向かう。「練習を再開した後、全日本を最大の目標としてやっているので。また出場したい。今回、明確に採点されて点数が出て、足りないところが分かりました。次につながる大会になりました」。目指す場所へ、はっきりと第1歩の感触が分かった復帰戦となった。【木下淳】