男子は、珍しいミスが出た鍵山優真(17=星槎国際高横浜)が71・72点の2位となった。冒頭の4回転サルコーがやや乱れ、連続で付ける予定だった3回転トーループが2回転に。続く4回転トーループも崩れて2回転となった。「昨季からトーループは失敗したことがなくて…動揺した」。得意技を決められず、最後のトリプルアクセル(3回転半)も回転不足。世界的振付師ローリー・ニコルさんが手掛けた「Vocussion」で関東選手権では98・46点をマークしていたが、この日は苦しんだ。

切り替えるしかない。7日のフリーでは、同じくニコルさんが振り付けした新プログラムの映画「アバター」を初披露する。非公認ながら、佐藤操コーチの「ロード・オブ・ザ・リング」で世界歴代5位相当のスコアを記録したばかりだが「迷ったけど、来季は(22年北京)五輪シーズン。勝ちに行くための挑戦です。自分の意思が強かった」と、あえて険しい道を選び抜いた。

始めて、まだ1カ月弱だが「毎日1回は曲かけ練習をしている。映画も見た。すごくキレイ」と感触はいい。シーズン3度目のプログラム変更は極めて異例。挑戦に代償は付きもの、生みの苦しみで疲労も蓄積しているはずだが「SPもフリーもバランス良く練習してきたつもり。今日の演技への影響はなかった」と否定し、プライドを示した。

ミスが出たとはいえ、最初の連続ジャンプは出来栄え点(GOE)2・91を稼ぐ質の高さだった。一夜で修正し、本邦初公開の新プロで巻き返す。【木下淳】