全日本スキー連盟は6日、都内で臨時の評議員会と理事会を開き、勝木紀昭会長(67=北海道連盟会長、北海道エネルギー会長)、元アルペンW杯代表で女子日本代表コーチの経験もある中村実彦競技本部長(59)らによる新体制を発足させた。勝木新会長は「執行部と地方の相互理解、情報共有が足りていなかった。新型コロナウイルス収束後にしっかり成果が出せるよう、22年北京五輪へ選手たちをバックアップしていきたい」と決意を明かした。

連盟の役員人事を巡っては10月18日の評議員会の役員改選で25人の理事候補のうち北野貴裕会長(57=北野建設会長兼社長)、08年トリノ五輪回転4位で強化部門トップの皆川賢太郎競技本部長(43)、星野佳路氏(60=星野リゾート代表)ら7人の選任が否決された。北野氏ら連盟中枢のトップダウン方式の運営手法が地方組織などの反発を招いたのが原因だった。

北野氏の代わりに副会長だった勝木氏が暫定会長に就任。連盟は「理事は20人以上25人以内」という定款を満たすため、11月15日に役員候補者選考委員会を立ち上げて人選を行い、この日の評議員会で6人の理事をあらためて選任した。

日本オリンピック委員会理事も務める北野氏は甲信越ブロック推薦で再び候補者に挙げられたが、辞退。皆川氏は候補者から外れ、11月30日付で辞任届を提出した。

評議員会後の理事会で勝木会長、中村競技本部長らが正式に就任し、新体制が立ち上がった。北京五輪を1年4カ月後に控える時期に、連盟と強化のトップが不信任を受けるという異例の事態は約2カ月で収束。前体制は財政基盤の拡充や会員登録のデジタル化などを推し進めたが、地方とのコミュニケーションを欠いたことが退陣につながった。連盟には新型コロナウイルス対策、財政問題やスキー人口と会員数の減少、新たな強化・普及の方向性など課題は多く、新体制も難しいかじ取りを求められる。