女子の東京成徳大高(東京)が10大会ぶりに準決勝に進出した。残り20秒から2本のシュートで3点差を逆転して安城学園(愛知)を96-94で下した。

高知中央(高知)は昭和学院(千葉)を撃破して初のベスト4。昨年優勝の桜花学園(愛知)も順当に勝ち上がった。男子は昨年優勝の福岡第一が準々決勝進出を決めたが、同準優勝の福岡大大濠(福岡)は3回戦で東山(京都)に敗れた。

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3点リードされたまま、時計は残り20秒になった。それでも東京成徳大高はあきらめなかった。司令塔の山田葵(3年)が果敢なドリブルからシュートを決めて1点差に詰め寄ると、試合終了寸前、山田のパスを外で受けた佐坂光咲の3ポイントシュートがゴールの枠に吸い込まれた。終了のブザーが両チームの絶叫にかき消された。

「最後は自分で決めにいこうと思ったけど佐坂が空いていたので、決めてくれると信じてパスを出しました」。目標のベスト4進出を達成した山田の顔は試合後も紅潮したままだった。コロナ禍で練習ができなかった約3カ月間、毎日、SNSのラインを通じてチームメートとトレーニング方法や食事などについて情報を共有してきた。それが絆を深め、高いモチベーションにつながったという。

準決勝の相手は札幌山の手(北海道)。目標を達成できたことで欲も出てきた。「やってきたバスケットはもっとコンセプトが高い。山は越えたわけじゃない」と遠香周平監督。ちなみに07年から09年まで3大会連続で決勝で桜花学園(愛知)に敗れている。「せっかく(準決勝からの)メインコートに立てるので、応援してくれた人たちに恩返しが出来るような結果が出したい。桜花(学園)を破って優勝したい」。166センチの山田がずっと大きく見えた。【首藤正徳】