全国大学ラグビー選手権で2連覇を目指す早大(関東対抗戦2位)が10日、東京・上井草で翌11日の決勝(東京・国立競技場)に向けた最後の練習を行った。ファイナルに残った2校にだけ与えられる、最も長いシーズンのラスト練習。天理大(関西1位)との決戦へ、選ばれた23人とメンバー外の4年生で入念に約束事を確認した。

練習後、前日9日の全国高校大会決勝(花園)で対戦した桐蔭学園(神奈川)出身のCTB伊藤大祐(1年)と、京都成章OBのフランカー村田陣悟(1年)が取材に応じた。

昨年、桐蔭学園の主将としてチームを初の単独Vに導いた伊藤は「(村田と)風呂場で会った時に『お前とは、しゃべんない』と言われた」と同期から宣戦布告を受けたと笑わせつつ、結果は母校の快勝。「準決勝までは何人かで分析室で見たんですけど、決勝は1人で見ました。ドキドキするかなと思ったら、負ける気がしない内容で安心感がありました。強かったです」と後輩をたたえた。

刺激を受け「(ロック青木)恵斗とか、すごく注目された中でも力を出し切っていた。そんな後輩の姿を見て、覚悟や勝利への気持ちの強さを学ばせてもらった。自分も明日は決勝。できることをしっかりして優勝に貢献したい」と意気込んだ。大一番は、4年生CTB平井亮佑(修猷館)の復帰で3試合ぶりの控えに回ったが、スーパーサブとして得意のランを試合途中から、さく裂させる。

一方の村田は「口を利かない、と言ってきたのは向こうですよ」と伊藤の発言を笑顔で否定しながら「終わった後は『ナイスゲームだったね』と話しました。体を張る姿を後輩には見せてもらいましたし、自分が取り返す、というか明日の決勝では最初からエンジン全開でいきたい」と決意を新たにした。

SH小西泰聖(2年)ら早大には桐蔭学園出身が多く、前日は肩身が狭い思いをした関西人。決勝の相手も、地元京都の同大以来36季ぶりとなる関西勢Vを天理大が狙っている。しかし「そこは関係なく。今年は今年なので、去年の優勝も関係ない。チャレンジャー精神で戦いたい」。1年から名門早稲田のレギュラーに抜てきされ、決勝も7番で先発する。狙うは自身初の頂点。その結果が2連覇という意識で、若さをぶつける。【木下淳】