元スコットランド代表主将で、今季からNTTコミュニケーションズに新加入したSHグレイグ・レイドロー(35)が名刺代わりの12得点の活躍を見せた。日本デビュー戦で、逆転となるトライを1つ決め、2ゴール、1ペナルティーゴール(PG)。

15年、19年のワールドカップ(W杯)で日本とも対戦した世界的スターは、41-13でチームの開幕戦6季ぶり勝利に大きく貢献した。

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完璧に欺いた。状況を見極めていた。12-13の前半36分。ゴールライン目前のモール。その後ろで、レイドローはボールを手にした。右を向き、味方にパスを出すと見せかけた。敵がつられると、一気に前へ。一瞬の状況判断から、穴を見抜き、飛び込んだ。右腕でつかむボールはインゴールに。正確な右足とパス回しの印象が強いが、日本デビュー戦はトライで魅せた。レイドローは「良いプレーができたと思いますし、ゲームの展開に対応できたと思います。今日のチームの勝利に貢献できたことをうれしく思います」と話した。

強い海風が吹く中、得意のキックも健在だった。2ゴール、1PG。後半31分までプレーし、司令塔として、ゲームを組み立てた。チームにも溶け込んでいる様子で「雰囲気はとてもよく、楽しんでいます。自分の経験を若手選手へ共有し、ゲームをコントロールするリーダーとしてもチームをサポートしていこうと思います」と語った。

代表通算76キャップ。15年W杯では日本に圧勝し、19年W杯は日本に敗れて代表から引退した。2年契約で「日本で引退するかもしれない」との思いで戦う。レイドローは「チームと契約してから公式戦でプレーするまでの時間は長く、トップリーグでプレーできることを心待ちにしていました。やっと今日トップリーグ開幕を迎え、プレーできたことを光栄に思います」。待ち望んだ約1カ月遅れのデビュー戦を、そう振り返った。