世界3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、2年ぶり2度目の優勝を果たした。同24位のジェニファー・ブレイディ(米国)に6-4、6-3でストレート勝ち。4年連続4度目となる4大大会制覇は、コロナ禍でも揺るがない強靱(きょうじん)なメンタルからもたらされた。

22日付世界ランキングで2位に復帰。同じハードコートで実施される東京オリンピック(五輪)の金メダル獲得へ弾みをつけた。

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センターコートに声が響く。日の丸が揺れ、ファンの額には「必勝」のはちまきがキリリと巻かれた。「がんばれ~、なおみ」。その声にほほ笑むと、大坂はゆっくりとサービスの構えに入った。マッチポイントで時速174キロのサーブをたたき込んだ。

優勝の瞬間、「本当にハッピーだった。手が震えちゃった」と、ラケットを頭に乗せ、笑顔でぴょこんと跳び上がった。日本語で「頑張りました。勝ったよ~」。両手の親指を立てるサムアップで、テレビ観戦する日本のファンに勝利のメッセージを送った。

センターコートの収容人員は最大1万4820人。しかし、感染症対策で、半分の最大7477人に入場数は限られた。実際は7381人が入り、ほぼ“満員”だった。「本当に、見に来てくれてありがとう」。大坂は心の底から感謝を述べ、表彰式後、観客へのサインに延々と応えた。

風もあり、トスが乱れ、第1サーブの確率は48%。1回戦から7試合で、決勝が最も調子が悪かった。優勝したい、ミスしたくないとの思いからか「すごく緊張した」。ミスにも助けられた。ただ、4回目の優勝に「5回の優勝が目標。次が7~8回。そして10回よ」と胸を張った。

通常、全豪は1月開催。それが新型コロナの対策に時間がかかり、2月に延期された。海外からの渡航者を原則受け入れていないオーストラリアは厳しい感染症対策で選手たちを迎えた。1日5時間の外出は可能とはいえ、入国後、2週間の隔離は必須だった。

その2週間、毎日、PCR検査が行われた。チャーター便に乗った選手に陽性者が出れば、同乗者は入国後、部屋から1歩も出られない完全隔離を強いられた。有観客で始まった大会は、途中で5日間の無観客開催も余儀なくされた。

それでも大坂の強さは揺るがなかった。部屋でNetflixや食事を堪能し、外野の雑音さえ楽しんだ。「楽しみが食事だけ。だから少し太っちゃった」と苦笑い。表彰式では「隔離を一緒に乗り越えてきた仲間。これはあなたたちのためのもの」と、銀のトロフィーを掲げた。コロナ禍にも負けず、自分を奮い立たせた優勝で、大坂が真の女王に君臨する。

◆全豪オープンテニスは、2月8~21日、WOWOWライブで連日生中継。WOWOWオンデマンドでも同時配信予定。