開演を前に、今大会の競技日程を終えた男子の羽生結弦(26=ANA)が報道陣の合同オンライン取材に応じた。

-今季、得たもの。今季を終えて感じた課題は

抽象的な話になるかもしれないんですけど。僕が世界選手権で初めて3位になった時の年(12年ニース大会)が、ちょうど、もう9年も前のことになりますけど。その時に思ったことと同じようなことを(東日本大震災)10年の節目ということもあって、あらためて思いました。

というのも、まあ今回、自粛期間だったり、または試合を辞退したり。そういったことをしている中でニュースや報道を見て、コロナというのが、どれほど大変なのか。または、それとどうやって向き合っていくのか。それぞれの方がどのように苦しんでいるのか。いろんなことを考えながら過ごしていました。

何か、そこから。うーん…。それと付き合っていくには、やっぱり、できればゼロになることが1番だとは思うんですけど、それでも進んでいかなくてはいけないですし、立ち向かっていかなくてはいけないですし、いろんなことに。ある意味、僕の4A(4回転半ジャンプ)じゃないですけど、挑戦しながら、最大の対策を練っていく必要があるんだな、ということを感じていて。

ちょっと話がくどくなるんですけど、そういう中で、この震災10年というものを迎えて、自分自身、コメントを考える時に、どれほど苦しいのか。どんな苦しさがあるのか。または、それを本当に思い出してほしいと思っている人がどれほどいるのか。思い出したくない人もいるだろう、そんなことを、いろんなことを考えて。

それって、今のコロナの状況と変わらないんじゃないかなという風に僕は思いました。で、最終的に、震災のシーズンも、震災が終わったシーズンもそうでしたけれども、僕は、あの時は、もっともっと何か若くて。被災地代表は嫌だ、日本代表で自分の力で取った派遣なんだから、被災地代表と言われたくない、という気持ちも、もちろんありましたし。自分自身でいろんなものを勝ち取りたいって強く思っていたんですけど、最終的に感謝の気持ちがすごく出てきて、応援されているんだ、僕が応援している立場じゃなくて応援されているんだ、っていうことだとか。そういったものがまた今回、すごく感じられたので。何か全然、取りとめもない話になっちゃってますけど。結果として「自分も滑っていいのかな」と。自分が滑ることによって、何かの意味をちゃんと見いだしていければ、それは自分が存在していい証しなのかな、という風にちょっと思いました。【木下淳】