あと1歩届かなかった。昨冬の全国選手権(ウインターカップ)で優勝した仙台大明成(宮城)が帝京長岡(新潟)に73-75で惜敗した。U-19日本代表の山崎一渉(いぶ、3年)が23得点、10リバウンド。16得点、11リバウンドで奮起した内藤晴樹(2年)とともに「ダブルダブル」でチームを引っ張ったが、4年ぶりの決勝進出を逃した。

第4クオーター終盤まで一進一退の攻防。1点を追う残り9秒で山崎一は「ここで自分が決めて(チームを)勝たせるしかない」と、2点シュートを放った。だが、ボールは惜しくもリングをはじき、逆転はならず。15年以来2度目の夏制覇は消えた。7月上旬にラトビアで開催されたU-19ワールドカップから帰国後は新型コロナウイルス感染拡大防止の隔離期間を経て、28日の準々決勝から出場し「自分の力でチームを勝たせることができなくて全員に謝りたい」と悔やんだ。

今大会は4強で終わったが菅野ブルース(3年)と山崎一が不在の中、2勝を挙げるなど収穫もあった。司令塔の内藤は「2人がいなくなって自分が点数を取らないといけないと感じた。自分がペネトレイト(パスやドリブルで相手ディフェンス内に侵入する動作)をして点数を取れたことは良い経験になった」と前を向いた。さらに大会を通してベンチ入りした多くの選手たちが全国舞台を経験できた。

今後は12月開幕の全国選手権に照準を合わせる。佐藤久夫監督(71)は「選手層が薄いので、冬に向けてもっと使える選手を増やしていかなければならない。一渉とブルースに対して、責任の重さはあまりかけたくない。彼らにはもっと思い切って、結果を考えないバスケットボールをやってほしい」と期待を込めた。全国屈指の強豪が仕切り直し、2年連続7度目の“冬制覇”をつかみ、夏の悔し涙を冬のうれし涙に変えてみせる。【相沢孔志】