東京パラリンピックで2大会ぶり3度目の金メダルに輝いた世界王者、国枝慎吾(37=ユニクロ)が全米も制した。3連敗中だった同2位のヒューエット(英国)に6-1、6-4のストレートで快勝。2連覇を達成し、「信じられない2大会が続いた」と、パラリンピックと全米の2大会連続優勝を喜んだ。

マッチポイントで相手のフォアがアウトすると、国枝は思わず両手を広げ、右手でガッツポーズだ。パラリンピックが4日に終了。6日には渡米し、厳しい日程だった。「コートに入る30分前まで、ちょっと目をつぶったら寝そうだった」。岩見コーチは、「体がやばいと思ったら、途中で止めても」と話したという。しかし、その疲労や過密日程にも負けなかった。

この日の対戦は、東京パラリンピックと同じぐらい重みがあった。今年、全豪と全仏でヒューエットには敗れており、パラリンピックでは対ヒューエットが最大の関門と見られた。しかし、ヒューエットは準決勝で敗退し、対戦することなく国枝は金メダルを獲得した。

ヒューエットに勝って優勝する。そのチャンスが、今年最後の4大大会でやってきた。それも決勝である。パラリンピック覇者として負けるわけにはいかなかった。「最大のライバルを倒してこそ真のチャンピオン」。

第1セットは完璧に近かった。特に最初の3ゲームは「ゾーンに入っていた」。理想とした展開の速い攻撃で、次々とポイントを奪った。3-1リードから、一気に6ゲームを連取。第2セットは4-1から4オールに追いつかれたが、最後は振り切った。

すべてを出し切った2週間だった。11月には米国でマスターズ大会があるが、今は疲労困憊(こんぱい)で「2週間ぐらいは何にもしたくない」。帰国後は「妻のご飯でも食べたいですね」と、愛さんの手料理を心待ちにしていた。

◆全米オープンテニスはWOWOWで全日生放送、同時配信される。