今年3月の世界選手権(ストックホルム)で銀メダルを獲得した鍵山優真(18=オリエンタルバイオ/星槎)が、今年8月に負っていた右手首のけがが骨挫傷だったと明らかにした。

習得を目指している4回転ルッツの練習中に転倒。右手をついた際に甲から手首の部分を負傷したといい「げんさん(サマーカップ=8月の今季初戦)の1週間くらい前に痛めたんですけど、試合翌日に検査したら骨挫傷と。2週間くらいギプスをしていたので、滑る以外のジャンプ練習などはできませんでした」と説明した。

その後、9月に入って練習を本格再開。状態が上向いたといい、この日は94・51点で首位発進した。「When You're Smiling」を演じたSP冒頭の4回転サルコーはバランスを崩して手をついたものの、続く4回転トーループ-3回転トーループ、最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)はきれいに決めた。

その、げんさんサマーカップは冒頭の4回転サルコーが2回転になり、4回転トーループは転倒するなど72・41点だったが、約2カ月で修正してみせ「今日はスッキリした気持ち。げんさんでは『失敗しない』ことを考えすぎてしまったんですけど、今回は『(飛ぶ時に体を)締める』という強い気持ちでやれた。ウオーミングアップの時に(3位だった昨年の)全日本選手権とか(初出場2位の快挙だった)世界選手権の映像を見返したら、不安な表情がなく、出だしから楽しそうに滑っていたので。同じように楽しんで滑ろうと思った結果、体が動いてくれた。良かったかなと思います」と納得の笑顔を見せた。

フリーは2日午後3時10分から行われる。冒頭で4回転ループを初投入予定でループ、サルコー、トーループ2本の4回転3種4本を予定している。「ループの方が長く練習しているので」と初解禁を見据え「ループの方が失敗の仕方も分かっている。難しくて、まだ安定してないですけど、挑戦して。年末の全日本までに跳べるようにしていきたい」。ルッツは「まだ怖さがあるので」と封印し、まずは4回転ループをお披露目する。

この日は、新たに健康食品販売業のオリエンタルバイオと新たに所属契約を結んだことが発表された。「フィギュアスケート自体を応援してくださっている会社で、あまり選手と契約することがなかったと聞いています。ありがたく思いますし、期待してくれている部分もあると思うので頑張りたい」と、夢の22年北京オリンピック(五輪)へ気持ちも新たに滑りだした。【木下淳】