16年の世界ジュニア女王で、シニア5年目の本田真凜(20=JAL)が約11カ月ぶりの公式戦を終えた。

薄い黄色と緑色をベースに、髪飾りと上半身に色鮮やかな石をちりばめた衣装で「ラバーズ」を舞い、フリーは87・12点。前日7位だったショートプログラム(SP)53・58点との合計で140・70点をマーク。総合12位だった。

「フリーの前は、本当にどうなるのかな…と不安だったので。とりあえずはホットしています」。昨年11月のグランプリ(GP)シリーズNHK杯以来の公式戦で「久しぶりでしたし、6分間(直前練習)で全部のジャンプを跳んで仕上げるのが間に合わなくて。グループの最終だったので(練習時間終了から)30分くらいあって、どう過ごすかも…」。感覚を思い出しながらの試合だった。

その中で、ジャンプに細かいミスはあったものの3回転ループやダブルアクセル(2回転半)を決める。3季ぶりの「ラバーズ」に関しては「手直しはしていない」と当時のまま。「好きなプログラムだけど、当時、つらい悲しい気持ちで臨んでいたので。またこの好きな曲で、いい演技ができるようにしたいな」との思いを込めて演じ切った。

つらい悲しい、と表現したシーズンは全日本選手権で15位に沈むなど苦しんだ年だった。比較して今は「何か得るものがあるように滑っているので、吹っ切れて楽しい気持ちなのかなと思います」と前向きだ。「滑ってきたプログラムの中でも、母が好きだと言ってくれたもので。もう1度やってみたいと思った」と支えてくれた家族への恩返しも選曲の理由となった。

次の東日本選手権(29~31日、東伏見)に駒を進めた。7年連続の全日本選手権(12月、さいたま)出場切符の獲得へ前進し「東日本までに、以前の自分のような構成に戻せるよう頑張りたい」と気持ちを入れ直した。【木下淳】