22年北京五輪を目指す河辺愛菜(16=木下アカデミー)が、グランプリ(GP)シリーズ独特の緊張感に苦しんだ。昨季は自国開催のNHK杯に出場したが、新型コロナウイルスの影響で出場12人中11人が日本勢だった。53・30点と得点を伸ばせず「練習での調子はすごく良かったので、結構不安はなかったんですけれど、緊張してしまって、力が入りすぎてしまった」と悔しそうに振り返った。

冒頭に組み込んだ大技のトリプルアクセル(3回転半)で転倒。前日、当日の練習では好調を維持していたが「普段しないような失敗の仕方、転び方をしてしまった」。焦りが募って続く3回転ルッツも転倒し、演技後半のフリップ-トーループの連続3回転はトーループが2回転となった。

それでも演技前に浜田美栄コーチからかけられた「ジャンプだけじゃない。最後まで諦めず、2分50秒滑りきろう」という言葉通り、感情を込めながらビバルディの「冬」を演じきった。30日(日本時間31日)のフリーへ、失う物はない。

「明日はこれ以上、下がることはないと思う。全部切り替えて、上にいくことだけを考えて、ちゃんと落ち着いて頑張りたいです」

ほろ苦く、悔しい経験を、フリーにつなげる。【松本航】