20年全日本ジュニア選手権2位の三浦佳生(16=目黒日大高)にとって笑顔なき2連覇となった。

冒頭のトリプルアクセル(3回転半)は美しく決めたが、4回転サルコーが1回転になったり、3回転ルッツで転倒したりするなど不完全燃焼。演技を終えた瞬間、太ももを両手で思い切りたたいて悔しがった。

名曲「ポエタ」を舞って137・03点の合計215・05点。前日のショートプログラム(SP)は78・02点と上々の出来で首位発進したが、この日は今月上旬の東京選手権の235・73点を大きく下回り「力不足を感じました。気持ちが前に前にいってしまう悪い部分を抑えることができなかった」と反省した。

一方で大会前には、トーループとサルコーに次ぐ3本目の4回転ジャンプ、ループを降りたことをツイッターで報告。「やったぁ! と思って、つい上げちゃいました」と笑顔になるなど、順調に成長している。

この日は「4回転ループはフリーの1本目に入れたいんですけど、もともとフリップやアクセルを跳んでいるところなのでループだと合わない」と挑戦せず。次戦、シニアのグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯(11月12~14日、東京・代々木第1体育館)での投入する可能性がある。

「海外へアピールしたいので入れたい思いはあるんですけど、これから先生と相談したい。ただ、ループを入れた振り付けで練習しているので、入れられるように」と準備は進める。

既にサルコーとトーループの4回転を操るため「やっぱり1本目にループかフリップにを挑戦した。4本の4回転ができたらベストかな。もちろん今季中に実現させたい」と言った。

習得状況についても「フリップは前よりも回るようになってきて、クリーンでこけたり、ステップアウトだったりと、そろそろ降りられるんじゃないかなという期待があります。ループは1日に2、3本は必ず降りられるようになっている」と自信を口にした。

NHK杯では羽生結弦(ANA)や宇野昌磨(トヨタ自動車)の胸を借りる。さらには、GPシリーズ第1戦スケートアメリカで世界王者ネーサン・チェン(米国)と宇野のスコアを上回って優勝したビンセント・ジョウ(米国)もエントリー。「見させていただいて、相当な努力をしているなと感じたので、ああなれるように。(左肩を脱臼しながら試合を全うした親友の佐藤)駿も、けがしてしまったんですけど、素晴らしい魂がこもった演技を見せてくれた。尊敬して見習いたい」と刺激には事欠かない状況だ。

その先には昨年のリベンジ、初優勝を狙う全日本ジュニア選手権(11月19~21日、名古屋市)も連戦で控えており「大事な試合が続くので気を引き締めて。けがとコロナには気をつけて演技のクオリティーを上げていきたい」と言葉に力を込めた。【木下淳】