北京五輪へ激しい代表争いを繰り広げる日本男子500メートルに、また新星が現れた。

松井大和(24=シリウス)が自己記録を0秒2更新する34秒04でW杯初制覇を果たした。

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端正で甘いマスクを持つ松井は北海道鹿追町で生まれ、3歳上の姉について4歳でスケートを始めた。「学校の授業でスケートがあるので、そこで滑れるようになるために始めたというぐらいなんです」と振り返る。

小中学生の頃は夏場、野球に打ち込んだ。中学時は二塁手、遊撃手で2番打者。「バント要員みたいな。器用だったんです」。スケートは「中学でやめようと思っていた」が中3で成績が出るようになり、高校でも続けた。

スケート部がない地元の公立校、鹿追高に進学し所属先のために「1人スケート部」を創設。練習は隣町の芽室高と合同で行った。「自校で練習が出来ない環境の部員を集めて面倒を見てくれた」のが、かつて池田高で10年バンクーバー五輪500メートル銀メダルだった長島圭一郎さんを指導していた野村昌男監督。

野村さんを「恩師」と呼び感謝する。人口約5200人の小さな町からオリンピアンとなって恩返ししたい考えだ。