女王ENEOSが決勝でデンソーを86-62で下して前人未到の9連覇を達成した。通算26度目の優勝。第31~38回大会を制したユニチカ山崎を超える「V9」となった。

ENEOSは前半49-35とリードして前半を折り返すと、後半も着々と得点を重ねた。大黒柱の渡嘉敷来夢(30)が19得点、18リバウンドの“ダブルダブル”をマーク。試合後に赤い目で「去年、コートに立てず悔しい思いをした選手が(自分も含めて)何人もいる。去年優勝したときに、来年は決勝の舞台でプレーしようと話をした。きょうこの場に立てて本当に最高です」と話した。

東京オリンピック(五輪)で活躍した林咲希が得意の3点シュート5本成功を含む17得点、主将の岡本彩也花はチーム最多20得点を挙げた。チーム全体で堅固な守備力を発揮。日本代表主将の高田真希や赤穗ひまわりを擁する、今季Wリーグ無敗を継続中の難敵を退けた。林が大会MVPに選ばれた。

前年のこの大会準々決勝で、渡嘉敷は右膝靱帯(じんたい)断裂の大けがを負った。それでも東京五輪出場を目指して懸命にリハビリに励んできたが、6月に代表入りを断念。エースとして期待された大舞台に立つことはできなかったが、秋にWリーグが開幕すると、その悔しさを振り払うように奮起。カップ戦の今大会でも、準々決勝で30得点、準決勝で21得点といずれもチーム最多得点を挙げてけん引してきた。

まさに1年前のこの日12月19日は皇后杯準決勝で、チームはやはりデンソーと対戦。3日前の試合で負傷した渡嘉敷は松葉づえをついて会場に姿を見せ、ベンチから大きな声で仲間を激励していた。それから1年後。不屈の闘志で大けがを乗り越え、コートの中央で歓喜に浸った。