今夏にペアを結成した柚木心結(ゆのき・みゆ、15=京都宇治FSC)、市橋翔哉(24=関大)組が、2人では初の大舞台で自己ベストを更新した。

1組のみの出場でフリー80・95点を記録し、合計115・72点。初陣だった11月の西日本選手権から17・38点更新した。柚木はペアに憧れ、北海道から京都に移住。市橋の元パートナー三浦璃来が木原龍一(ともに木下グループ)と22年北京オリンピック(五輪)内定を決めており、その背中を追って新ペアが突き進む。

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ニッコリと笑った柚木が、市橋と抱き合った。1組だけのフリー。初めて経験する大きな拍手に包まれ、ペア特有のスロージャンプも2回転で2本降りた。「ずっとペアをやりたかった。今までで一番いい演技ができて、涙が出てきました」。京都両洋高で学ぶ15歳は景色を目に焼き付けた。

少し前まで北海道でシングルに打ち込んだ。今から4年前、興味本位でペアのトライアウトのために名古屋へ足を運んだ。身長130センチの小6は「『高い高い~』みたいな感覚でした」とリフトのとりこになった。「ペアをやりたい!」。その環境を求めて京都にやってきた。平日は1日2~3時間ペア、約1時間半はシングルの練習。来季からは9割をペアの時間に充て「パッと見て、目がいく選手になりたい」と誓う。

過去2シーズン、市橋は1人だった。19年に三浦とペア解消後、パートナーが見つからない日々が続いた。シングルで競技会に出場し「横に誰かがいるとイメージして滑っても、目に見えないし、寂しい」と口にしたこともあった。ペアは初心者の柚木と出会い「すごく合わせやすかった。人柄も癒やしで、1発サインです!」と大好きな野球の契約更改になぞらえた。

今大会はカナダで練習する三浦、木原組が渡航制限を考慮して欠場。柚木は「『璃来ちゃんたちを見て勉強しよう』と言っていた。ちょっと悲しかった」と素直な思いを口にしたが、今後もチャンスは巡ってくる。シングルに比べ、発展途上のペア。市橋は「新しいペア人生のスタートを切れた」と胸を張り、「みゆしょー」としての大きな1歩を踏み出した。【松本航】