18年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が2年連続で2位となり、22年北京オリンピック(五輪)代表に選出された。

【男子フリー】羽生結弦 圧巻Vで北京五輪内定!2位宇野昌磨/全日本男子フリー詳細>

大会前に右足首を痛めたが、フリー3位の193・94点を記録し、合計295・82点。演技後は胸に手を当て、背負うものを解き放つと「(負傷する)1週間前まで練習してきた自分がそこにあったからこそ、あれだけの失敗で抑えられた」とほほえんだ。

苦しくても、進む道を探した。演技前の6分間練習でループ着氷時に足をひねった。「失敗していい理由にはならない。足が痛い日にどうやって乗り切ったかを考えた」。冒頭からループ、サルコー、フリップと3連続で単発の4回転ジャンプに成功。名曲「ボレロ」の音を全身で表現し、1つ1つの要素をこなした。基礎点が1・1倍の演技後半には4回転トーループで転倒。それでも最後までまとめあげ、表現などが評価される演技構成点全5項目で9点台(10点満点)と完成度の高さを見せつけた。

この4年、1度は世界トップレベルの位置から離れた。平昌五輪の翌19年、前半はコーチ不在で転戦。5年ぶりにGPファイナル進出を逃した。「1人で練習して1人で試合をする。できる、できないではなく、楽しくないって思った」。手を組んだのは06年トリノ五輪銀メダルのステファン・ランビエル・コーチだった。二人三脚で歩み、今季のGP第4戦NHK杯優勝で「ようやく世界のトップと競い合う存在に戻ってこられた」と胸を張った。

年を越せば、世界の実力者との競演が控える。「2回目の五輪で、新たな感情が生まれるかもしれない。自分が成長できるような五輪にしたい」。ひたむきな挑戦を続けた先に、違った景色が見える。【松本航】