北京五輪で4種目のメダル獲得だ。ノルディックスキー・ジャンプ男子の小林陵侑(25=土屋ホーム)は北京五輪(2月4日開幕)から採用される混合団体含め、冬季五輪日本人史上初の4種目でのメダル獲得が期待される。2度目の舞台で世界を驚かせるビッグジャンプの連続に注目だ。男子の北京五輪代表メンバーは、6日(日本時間7日未明)のW杯ビショフスホーフェン(オーストリア)大会をもって決まる。

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小林陵が快挙を達成する瞬間を見逃せない。北京五輪では4種目でメダルを手にする可能性が高まっている。日本人が冬季五輪で獲得した最多は3個。特に個人ノーマルヒル、ラージヒルでは優勝大本命。伝統のジャンプ週間開幕2連勝でW杯総合首位に立った強さは、4年に1度の祭典でも発揮されるはずだ。

本番での勝負強さがある。前回の18年平昌五輪は個人ノーマルヒルで日本勢最高の7位入賞を果たした。それが五輪デビューだった。当時、兄潤志郎やレジェンド葛西紀明に注目が集まっており、完全無欠のエースである現在とは立ち位置も違った。ノーマルヒルを終えて周囲からの視線が変わったことに気づいた。「けど、それはあまり気にせず。飛んでいて楽しかった」。初の大舞台を振り返っての感想だ。次のシーズンでW杯個人総合覇者になって取り巻く環境はさらに変わった。

五輪シーズン、すでにW杯5勝を挙げる調子の良さ。北京五輪では男子は最大4種目出場できる。男女2人ずつの4人での国別対抗の混合団体が初めて実施される。98年長野五輪で金2、銀1の3個のメダルを獲得した船木和喜越えも可能だ。何個メダルを取るのか、何色か、4種目達成するか、そのレベルで期待が高まる。4冠だって現実的だ。

その自信はある。「北京五輪は金メダルを目指して頑張ります」と、はっきり口にする。夏も冬も数々のドラマを生み続けてきた五輪で一番に思い浮かべたのは、直近の東京五輪で新採用され、日本勢の金メダルラッシュだったスケートボード。「感動します、やっぱり。尊敬すると同時にメダルを取るってどういう感じで今までやってきたんだろうって、いろいろ考えちゃう」。今度は自分がその瞬間の主役になる。【保坂果那】

◆小林陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年(平8)11月8日生まれ、岩手県八幡平市出身。松尾中-盛岡中央高を経て15年に土屋ホーム入社。18年平昌五輪個人ノーマルヒル7位。同年11月のW杯で初優勝し、伝統のジャンプ週間で史上3人目の4戦全勝を達成。18-19年シーズンは13勝を挙げて欧州勢以外で初のW杯個人総合優勝を果たした。現在W杯通算24勝で日本男子最多。兄潤志郎はW杯1勝で姉諭果と弟龍尚もジャンプ選手。173センチ、60キロ。

◆今季W杯 小林陵侑が最多5勝を挙げて個人総合首位に立つ。開幕戦を制したガイガー(ドイツ)が2位につけ、昨季総合覇者のグラネル(ノルウェー)が3位。14年ソチで個人2冠、18年平昌五輪個人ラージヒルで2連覇と団体銅メダルを獲得したストッフ(ポーランド)は今季表彰台1度で出遅れている。