長沢彩紗(五泉2年)が初優勝した。延長にもつれ込んだ決勝は中山妃奈子との同僚対決。手の内を熟知する相手から面を奪い、初の県チャンプになった。長沢は全日本都道府県対抗大会のメンバー入りが決まった。

169センチの恵まれた体からの長いリーチを伸ばして、長沢が面を決めた。「体が勝手に動いた。反射で打った」と会心の得意技で初優勝をもぎ取った。4分間の試合時間で決着がつかず、延長にもつれ込んだ接戦をものにした。五泉の選手はマスクをつけたままで防具を装着。呼吸はより苦しくなるが、意に介さなかった。「相手に勝つより、自分に勝つことを意識した。マスクにも負けられない」と笑顔を見せた。

昨年夏の全国高校総体で団体戦ベスト8に入ったチームでは次鋒(じほう)を務めた。個人戦でも8強入りした実力者。しかし、県を制したのは初めてだった。昨年の同大会も決勝で自校の先輩とぶつかり、敗退している。だからこそ、県の個人頂点は狙っていた。「目標が優勝だったので良かった。ホッとしている」。

決勝で対戦した中山とは同じ上越市出身で、柿崎小時代からのライバル。五泉では長沢が主将で中山が副主将と、ともにチームをけん引する存在だ。藤塚肇監督(47)は「剣道部で試合をすると、どっちが勝つか分からない」と言う。初優勝を後押ししたのは、切磋琢磨(せっさたくま)する身近な“刺激”の存在も大きかった。

「今年は個人も団体も(高校)日本一」と長沢は言う。昨夏の高校総体で入った個人・団体8強から大きくジャンプアップするつもりだ。藤塚監督は「ポテンシャルは全国トップクラス。攻撃力がある分、守備が課題だったが、今回は賢く戦った」と県女王に期待をかけていた。【涌井幹雄】