北海道ボクシング界の新星が“3連覇”に挑む。札幌清拳ジムの南龍聖(札幌北都中2年)は、昨夏、和歌山で行われた「全日本アンダージュニア(UJ)ボクシング王座決定戦」中学男子60キロ級で優勝。小学6年で小学男子46キロ級を制しており、コロナ禍で中止だった昨年を除き、今夏は3大会連続の王座獲得を目指す。3月にはシード権を争う全日本UJ大会が札幌で開催予定。地元で弾みをつけ“防衛”につなげる。

昨夏の王座決定戦は3-0の判定勝ち。「内容は良くなかった。今夏は手数でも上回り、誰が見ても勝ったと思われる内容で勝ちたい」と決意表明した。

4学年上の兄優さん(18)がジムに通っていた影響で、小1からボクシングを始めた。小6で全日本王座に立ち、中止だった昨年を挟み、同大会負けなし。札幌清拳ジムの田中康行会長(46)は「意図的に複数の戦い方を練習していて、瞬時に対応する力がスバ抜けている。フィジカルを鍛えれば、もっと強くなれる」。練習相手に日々、狙いを変えたスタイルのボクシングを頼みトレーニングしており、元来のセンスと、貪欲な向上心が、成長の素地になっている。

将来の夢は「オリンピック選手になること」。中学進学後、あこがれの元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシア(23=米国)や、16年世界ユース選手権フライ級で日本人初優勝した堤駿斗(東洋大4年)ら、プロアマ問わず動画で研究。「堤選手は左ジャブがうまい。ガルシア選手の動きを見てからは、がつがついかず、体の動きを考えながら戦えるようになった」と効果を口にした。

札幌北都中では剣道部に在籍。構えはボクシングと異なるが「間合いを把握するための視野の取り方など共通点もある。日本の礼儀も学べる。人として大事なこと」。武道からも吸収し、心身ともに磨きをかける。【永野高輔】

◆南龍聖(みなみ・りゅうせい)2007年(平19)8月9日、札幌市生まれ。札幌清田小1年からボクシングを始める。札幌北都小6年で全日本UJ王座決定戦小学男子46キロ級優勝。昨年中学男子60キロ級優勝。家族は両親と兄。好きなボクサーは元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシア(米国)。好きな芸能人はダウンタウン、くりぃむしちゅー。172センチ、60キロ。右ボクサーファイター。

◆全日本アンダージュニアボクシング王座決定戦 日本ボクシング連盟主催の、小学5、6年と中学生を対象とした日本王者を決める大会。都道府県、ブロック、東日本、西日本予選などを勝ち抜いた選手がワンマッチで戦う。14年に第1回大会が開催され、東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダルの入江聖奈は14、15年に連覇している。