予選勝者で世界120位のダニエル太郎(28=エイブル)の快進撃が止まった。

同10位で第11シードのヤニク・シナー(イタリア)に4-6、6-1、3-6、1-6の4セットで敗れ、戦後、日本男子3人目の4大大会ベスト16入りはならなかった。

敗れたとはいえ、コートを去るダニエルに、観客は立ち上がり拍手を送った。それが、ダニエルのプレーの全てを物語った。「ちょっと疲れた。最後は、相手ががーっと乗ってきて。ばーっと来たから、なんじゃこりゃと。さすがトップ10」。最後は足が動かなかった。

4大大会で予選から6試合を戦うのは自身初。それもトップ10との対戦で、「僕もそれほど悪くはなかったけど、マリー(2回戦の相手)に通用したことが通じなかった」。セットを分け合った第3セット。3-4の第8ゲームで、自分のサービスゲームを落とし、そのまま押し切られた。

しかし、自身初の4大大会3回戦進出に、2回戦では元世界王者のマリー(英国)を破るなど、大きくテニスが進化した。守備一辺倒だったスタイルは、攻撃を取り入れることで、一度はうまくいかなくなった。それでも耐えながら、この日を待った。

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191センチの長身ながら、回転をかけて安全に入れるサーブは、常に課題だった。5年以上をかけて改良し、今大会自身最速時速212キロを記録した日本のエース王となった。

攻守がかみ合い、作戦を組み立てることを覚え、パワーサーブも手に入れた。「テニスをゲームとしてとらえ、それを自分は芸術家(のようにプレーすること)なんだと信じたい」と、奥深い世界の最上位を目指す。

◆全豪オープンテニスはWOWOWで全日生放送、WOWOWオンデマンドとテニスワールドで全コートライブ配信される。