日本選手団が過去最多18個のメダルを獲得した北京五輪は20日に閉幕し、バトンは26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に渡った。

フィギュアスケートでは京都・宇治市の木下アカデミーで切磋琢磨(せっさたくま)する「宇治クインテット」が、ジュニアやノービスA(6月30日時点で満11~12歳)で新風を送り込んでいる。日刊スポーツでは4年後の活躍が期待される有望株を紹介する。

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高難度ジャンプで他を圧倒したROC(ロシア・オリンピック委員会)勢、その一角を崩した銅メダルの坂本花織(21=シスメックス)。日本女子12年ぶりのメダルに沸いた種目の、次世代の星が宇治にいる。20年春、国際大会で活躍する人材を育成するため誕生した木下アカデミー。13歳の中学1年生、島田麻央はすでに大きな注目を集める。

昨年11月の全日本ジュニア選手権。島田は94年の荒川静香以来、27年ぶりのノービス世代“飛び級”優勝を飾った。武器は日本女子で唯一競技会で成功している4回転トーループ。母の歩さんが浅田真央のファンで「麻央」と名付けられ、来季ジュニアに転向する13歳は「今(五輪は)自分がいるのと全然違う舞台。金メダルを取りたいです」と複数の4回転に挑戦中だ。

島田と同じ13歳で全日本ノービス選手権3位に入ったのが村上遥奈だ。オーストラリアで生まれ、8歳の時に浜田美栄コーチ(現木下アカデミーGM)の下に短期留学。そこから門下生となり「麻央ちゃんが目標です」と誓う。2人は26年五輪シーズンを16歳で迎える。国際スケート連盟(ISU)は年齢制限を現行の15歳から17歳に引き上げる案を協議する予定で、その行方も気になるところだ。

1つ上のジュニア1年目世代も逸材がそろう。柴山歩(13)は今季、シニアの全日本選手権に初出場して10位。長い手足を生かした表現に定評がある。一時期ペアとの両立で引き出しを増やした櫛田育良(14)は「五輪で金メダルを取るのが目標」と志が高い。大門桜子(13)はスケーティング技術にたけ、北京五輪団体戦銀メダルのビンセント・ジョウ(21=米国)が大門の動画を見て、滑りの手本にするほどだ。友でありライバル。そんな5人が世界に羽ばたく。【松本航】

 

◆木下アカデミー 木下グループが運営母体。宇治市の「木下アカデミー京都アイスアリーナ」を練習場とし、20年春に誕生。過去に宮原知子、紀平梨花らを指導した浜田美栄氏がGM、田村岳斗氏らがコーチ。アイスダンスで五輪2大会出場のキャシー・リード・コーチが振り付けをサポートするなど、ノービスからスケートに打ち込む環境が整う。北京五輪には河辺愛菜(17)が出場し23位。河辺も「4年後は出場するだけじゃなくて、ちゃんと上位を目指したい」と誓う。