男子テニスで、世界2位のダニル・メドベージェフ(26=ロシア)は24日(日本時間25日)、出場しているメキシコオープン準々決勝で西岡良仁(26)にストレート勝ち。ドバイ選手権で現王者ジョコビッチ(36)が敗れたため、28日に発表予定の最新世界ランキングで自身初の1位が確定した。

しかし、歴代27人目の世界王者誕生の瞬間は、母国のウクライナ侵攻でうれしさも半減だ。AP通信などによると「(1位確定は)子どもの時からの目標だった。ただ、同じ時期に、暗いニュースを聞くと複雑な気持ちもある」と、言葉も濁る。

試合に勝ち、1位も決まり、優勝まで残り2勝と迫っても「テニスより大事なものが常にあることは分かっている」とする。「ジェットコースターのように、上がり下がりが激しい日々だ」と、悲喜こもごもが入り交じった。

もちろん「私のすべては平和にある」と、紛争などはのぞんでいない。テニス界では、ロシア、ウクライナの両国から多くの選手がプレーしており、「選手はジュニアの頃から多くの国を旅している。だから、どこの国々も大事に思える」と強調する。

新型コロナウイルスの感染拡大で世界ツアーが中断したとき、テニス選手や関係者は、どれだけ世界の安全が大事かあらためて理解した。テニス界が世界を転戦することで成り立っている基本を、メドベージェフも痛感している。