宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が悲願の初優勝を飾った。

【メダリスト会見(1)】

-(司会から)日本の男女アベックVは3回目。10年の高橋大輔選手、浅田真央選手と14年の羽生結弦選手、浅田選手。今回の宇野昌磨選手と坂本花織選手です。そして日本が一大会で4つのメダルを獲得するのは2回目です。2012年ニース大会と今回です。

3つ目のデータが、特に宇野選手に関わります。コーチのステファン・ランビエルさんは2度の世界チャンピオンです。あなたも、来年のさいたま大会で連覇したい意識はありますか

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宇野 そうですねえ。何度も取材では話しているんですけど、自分は優勝を目指してスポーツをするのが得意ではないので。負けず嫌いではあるんですけど、自分だけのために、は得意ではなくて。ステファンや周りの方々が喜んでくれるのはうれしいですけど、一番は今季…というか、ここ数年、なかなか成績が出ない中でも応援してくださる方だったり、何もできない時にお世話になったステファン・コーチだったり。そんなコーチの下で素晴らしい成績を残したい、という思いはありましたし、優勝できたことはすごくうれしいんですけれども、感極まって涙を流すことはありませんでした。それは、この優勝がゴールではなく、自分でもゴールは分からないですけど、でも、もっと成長した先にゴールがあると思っているので、涙が流れなかったんじゃないかなと思います。

-(海外メディアから)宇野選手、おめでとうございます。長年、待っていました。やっと表彰台の一番上。過去には「トゥーランドット」など。今回は新解釈の「ボレロ」。そこに4回転5本を入れるのは大変。どう音楽に支えられたのか。音楽との関係性について教えてください

宇野 フリーの「ボレロ」に関しては、ショート(オーボエ協奏曲)は比較的スローなテンポで、合わせることで無駄な力が抜けるので、楽。フリーは振り付けやジャンプが相まって、とても体力を消耗するプログラムになっています。こうして最後の試合になって、ようやく滑り切れるようになった。ショートは週に1、2回やって、それ以外はフリーをやっても、ようやくここまでという感じです。ステファン・コーチがそれだけ期待してくれたのかなと思いますが、今後、違うプログラムをやるにしても、このプログラムよりは楽かなと思います。

(会場にいたランビエル・コーチが)

一言だけ。昌磨、さらにステップアップするから楽になることはないよ。ハードワークするから成長するんだよ。その先には新たなチャレンジが待っているんだよ、と伝えたい。

宇野 (笑い)。

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宇野はSP109・63点で首位発進。フリーでも自身初の大台となる202・85点をマークした。合計は世界歴代3位の312・48点。SP、フリー、合計、全てで自己ベストを更新した。

日本男子の優勝は17年の羽生結弦以来5年ぶり。高橋大輔(10年)羽生(14、17年)に次ぐ3人目の世界王者となった。