フィギュアスケートの世界選手権(3月23~27日、モンペリエ)は、アイスダンスで地元フランスのガブリエラ・パパダキス(26)、ギヨーム・シゼロン(27)組が5度目の優勝を飾り、盛況で幕を下ろした。

開催地のモンペリエがあるエロー県など13の県を擁する「オクシタニー地域圏」でスポーツ担当を務めるカメル・シブリ副議長(44)が大会終了後、日刊スポーツのインタビューに応じた。

2回にわたる特集の後編は、2023年に行われるラグビーW杯フランス大会を取り上げる。2019年の日本大会で過去最高の8強入りを飾った日本は1次リーグD組初戦の米大陸第2代表戦(23年9月10日)、第3戦サモア戦(同28日)の2試合を同地域圏内のトゥールーズで戦う。シブリ副議長は開幕まで1年半を切った、大舞台への強い期待感をにじませた。【取材・構成=松本航、協力=フランス観光開発機構】

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-日本が2試合を戦うトゥールーズは、ラグビー熱が高い地域と聞く

「(フランス1部トップ14の)『スタッド・トゥールーザン』は、この地方を代表するチームです。地域全体の中にラグビーのクラブが450あり『スタッド・トゥールーザン』は100年以上の歴史(1907年創設)があります。フランス選手権で21回の優勝は最多で、欧州チャンピオンズカップでも2021年の優勝が大会最多5回目となりました。『ばら色の街』といわれるトゥールーズで、ラグビーと人々は離れることがありません。トゥールーズのスターは全てがラガーマン。謙虚で自分のことを宣伝しない。そういった真摯(しんし)なところがラグビーの魅力であり、トゥールーズの人たちは、そんな競技が大好きです。『トゥールーズ=ラグビー』『オクシタニー=ラグビー』なのです」

-現在、W杯開催に向けて準備していることは

「本当に長い間、W杯に向けて準備をしてきました。フランス人の結束を高めるのはもちろん、スポーツという垣根を越えて、ライフスタイルや、美食、そういったさまざまな要素を幅広い人に知ってもらいたいと考えています。日本とオクシタニーでの協力態勢も深めてきました」

「期間内は祝祭一色になりますが、さまざまな方とW杯の価値を分かち合いたいと考えています。スタージュ(専門的な研修)の場を設けたり、多くのボランティアを積極的に募ります。大会1年前の今年9月からは小学校、中学校、高校の教育現場で参加国の文化や、国歌、国旗を学んでもらいます。文化面での交流も重要なテーマになってきます」

-フランスから見た、日本のイメージは

「(W杯イングランド大会で南アフリカを破った)2015年以降、日本ラグビーが発展しているのは誰もが知るところです。大変リスペクトしていますし『いつも何かをしでかしてくれるチーム』という期待があります。パスなど技術が戦術的に練られている。フランスでも日本はよく見られているし、代表チームも研究をしていると思います。1年半先にどうなっているかは分かりませんが『日本が驚かせてくれるのではないか』と感じています」

-フランスの仕上がりは

「『優勝してほしい』と心から願っています。開催地になって、優勝できたら、これ以上のことはない。『優勝候補』とは言われていますが、80分の試合の中で何が起こるか分かりません。開幕戦がフランスとニュージーランドで、これも大変難しい。優勝までの道のりは険しいと思います。今年はフランスと日本のテストマッチがあるので、それも楽しみですね」

-2019年W杯で日本でも多くの人がラグビーの魅力を知った。来年、トゥールーズを訪れた際に、ファンが楽しめるポイントは

「見ていただきたいところはたくさんあります。トゥールーズは、どこに行くのも最適な場所なのです。世界遺産である『カルカソンヌの城塞(じょうさい)』や『ポン・デュ・ガール』。れんが造りの建物として世界最大とされるアルビの『サント・セシル大聖堂』。他にも『ピレネー山脈』は、自転車のロードレース『ツールド・ド・フランス』でもおなじみです」

「山も良いですし、オクシタニーには地中海もあります。1時間半ほど列車に乗ると、地中海の入口『ナルボンヌ』へ行くことができ、そこには美しい海が広がっています。日本の方は美食ですよね。オクシタニーはワイン産地として広く知られています。ぜひワインと一緒に、郷土料理のカスレやフォアグラなどを召し上がってください」

「日本の皆様に最もお伝えしたいのは『時間をたっぷり取って来てください』ということです(笑い)。フランスといえばエッフェル塔が有名でしょうが、それだけではない。長い時間をとって来ていただければ、必ずや私たちの地域の魅力を堪能できます。来年、オクシタニーでお会いしましょう!」