前節まで4位の横浜キヤノンイーグルス(旧キヤノン)が3位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(旧パナソニック)に逆転負けした。前日に東芝ブレイブルーパス東京(旧東芝)が勝って暫定4位になり、同5位に後退していた横浜はそのまま浮上できなかった。

埼玉戦の前半は攻守に圧倒した。17-3とリード。開始わずか3分、フッカー庭井祐輔が先制トライを奪うと、6分後にもWTB松井千士が追加のトライ。守備も規律良く、ブラインドサイドまでしっかり見張って難敵を封じた。

しかし、リードを持って入った後半にまさかの展開となった。1つのミス、1つのペナルティー、1つのセットプレーを機に崩れていく。特にスクラムの差が徐々に顕著となり、後半だけで30点を奪われた。

沢木敬介監督は「スクラムで支配された。力の差は歴然としていました。そこで崩されなかったら、もっと違う展開になっていたと思うけど、受け入れなければいけない。スクラムはチームに勢いをつける。後半は完敗でしたね、スクラムは。そこは認めます」と敗因を明確に挙げて悔しがった。

SO田村優主将も「ホームゲームとして、ここ(日産ス)で試合できたことはうれしかった」と、まずは19年ワールドカップ(W杯)日本大会の決勝会場で大一番を迎えたことに感謝したが、結果には困惑した。

「前半あれだけのパフォーマンスをしながら、後半は…。僕としても、ラグビーやってきて初めてのことで何が何だか」と試合後の会見では整理できていなかった。庭井も「相手が後半に強いことは分かっていて14点リードでも『後半も最初から仕掛けよう』と話していました。警戒はしていたんですが」。最後は9点差とされた。

目指す来月のプレーオフ(PO)進出へ、圏外の5位に転落したが諦めるわけにはいかない。4位のBL東京と6位トヨタヴェルブリッツ(旧トヨタ)を含めた3チームで残り1枠を争う。

沢木監督は「前半あのようなゲームをしたら、本当は勝たないといけない。ポジティブに言えば、こういう経験が必要なんだなと思いたいけど、組織として覚悟が必要だなと。下を向いていても仕方ない。自力はなくなったが、5ポイントを取っていくしかない。可能性はあるので。この悔しさを残り2試合にぶつけます」と言葉に力を込めた。

田村も「相手は何もしていない。自分たちから崩れてしまった。こういう試合を勝ち切るためには訓練が必要。次の試合では…と今シーズンずっと話していますけど、あと少しのところまできている。組織としては成長している。次、こういう機会があれば生かすしかない」と切り替えた。

自力のPO進出は消滅したが、切符のゆくえは最終節まで分からないはずだ。勝ち点5を2試合続け、あとは他会場の結果を待つ。