故斉藤仁さんの次男、立(たつる、20=国士舘大)が初優勝した。親子2代での全日本選手権優勝は史上初。

191センチ、165キロの恵まれた体格を生かし、決勝で世界王者の影浦心(26=日本中央競馬会)との14分超の激闘を制した。フランスの絶対王者リネールに勝ったことがある難敵を振り切り、2回目の出場で頂点に立った。

20歳の新王者は「めちゃくちゃ、勝っていろんな人に支えられて、こうやって柔道できてるんだなと思いました。(決勝は)やっているうちに、やり方を変えて、(相手の狙いを)理解できたんで、勝てたんだと思います」と話した。

準決勝では東京オリンピック(五輪)100キロ超級の代表(5位)原沢久喜(29=長府工産)を下した。指導3の反則勝ち。初対戦だったが、最後は内股を連続で仕掛けて押し切った。場内からは大きな拍手が上がった。自身は指導0の快勝だった。

今月3日の全日本選抜体重別(福岡)では準決勝で両者反則負け。悔しい結果に終わっただけに、世界選手権(10月、タシケント)の代表最終選考会も兼ねた大会で王手をかけた。

父は84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪の男子95キロ超級で2連覇。この全日本選手権は88年に27歳で優勝している。その父を上回る20歳、大学3年生で日本一になった。目指していた父子Vを成し遂げた。これについては「まだオリンピックも勝てていないので、お父さんには、まだまだ並べていない」と、偉大な父への思いを口にした。

【木下淳】